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2022-08-25

【陸上】豊田兼(慶應大2年)が実学対抗で110mH学生歴代3位に台頭!

8月6日の実学対抗では110mHで学生歴代3位の13秒44で2位入賞を果たした豊田(写真/矢野寿明)

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身長195cm、豊田のハードリングの特徴は?

8月6日にレモンガススタジアム平塚で行われた、秩父宮賜杯第62回実業団・学生対抗大会。優勝した高山峻野(ゼンリン)には0秒34差をつけられたが、男子110 mH2位の豊田兼(慶大2年)は13秒44(+0.6)の学生歴代3位でフィニッシュしていた。歴代1~2位は13秒06(+1.2=日本記録/21年)の泉谷駿介(順大4年/現・住友電工)と、13秒27(+0.5/22年)の村竹ラシッド(順大3年)で、世界選手権オレゴン代表だった2人である。

豊田の身長は195cm。重心の高さはハードル種目では有利に働くが、ハードル間を刻む必要がある110 mHではマイナスに働く部分もある。
豊田の昨年までの自己記録は13秒88(-0.8)。高校3年時の20年は14秒09(+0.4)でシーズン高校5位だった。今年の関東インカレで13秒82(-0.3)の2位、日本選手権準決勝で13秒70(-0.2)、布勢スプリント予選で13秒66(+0.5)と記録を縮めていたが、13秒4台は周囲の予想を大きく上回る。
「慶同戦(7月末の慶大と同大の対校戦)で13秒80(-1.0)が向かい風で出せていたので、普通の風なら自己新は出ると思っていました。高山さんと藤井(亮汰/三重県スポーツ協会)さんに前半引っ張ってもらえたので出せた記録です」
高山の強さが突出していたこともあるが、後続選手たちは前半から大差をつけられていた。慶大の高野大樹コーチによれば「前半でボコンと置いていかれるのがウィークポイント」だと指摘する。

 「それでも実学対抗の1台目は2番目でしたが、2台目で後れています。これはハードリングの頂点を、男子選手の多くはハードルの真上なのですが、2台目でハードルより手前に持って来ようとしているからです」
高野コーチは所属の枠にとらわれず、女子100 mH元日本記録保持者の寺田明日香(ジャパンクリエイト)も指導しているが、「女子に近いパターンで、遠くから踏み切って近くに降りるハードリングです」と説明する。長身の豊田だから、女子より高い男子のハードルでも可能になるのだろう。
8月6日の実学対抗では110mHで学生歴代3位の13秒44で2位入賞
豊田は来年のブダペスト世界選手権、再来年のパリ五輪出場を視野に入れる(写真/矢野寿明)

以前はハードル間が詰まり気味になり「5、6台目でハードルに乗り上げる」ことが多かった。頂点の位置をハードルより手前にするのはその改善が目的だったが、「布勢スプリントあたりから練習でも詰まらなくなって、乗り上げが少なくなっている」という。短期的に見ればその点が13秒44を出せた要因と見ていい。
大学4年時に、父親の母国フランスでパリ五輪がある。そこで戦うには来年の世界選手権ブダペスト大会も経験しておきたい。ハードル種目は技術が向上すれば一気に記録を短縮できる種目だ。13秒28の標準記録まで0秒16開きがあるが、“壁”としないで突破してしまいたい。

文/寺田辰朗 写真/矢野寿明

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