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2022-08-19

【陸上】徳島インターハイ女子総合優勝争いは0.5点差の激闘 市船橋高が「入賞すべき選手がみんな入賞しての結果」の2位

市船橋高は4×400mRで優勝を果たし、総合優勝まで0.5点に詰め寄った(写真/椛本結城)

8月3日から5日間、徳島県鳴門市の大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムで行われた全国高校総体(インターハイ)の陸上競技。女子初の総合優勝に挑んだ市船橋高(千葉)は、惜しくも及ばなかったものの、43.5点を積み重ね、2連覇を達成した中京大中京高(愛知)を0.5点差まで追いつめた。

最終種目までもつれ込んだ総合優勝争い

大会前から2強とみられていた両校。短距離、ハードル、リレー種目での直接対決が注目された。最大の見どころとなったのは、3日目の4×100mRだろう。

3年生4人で挑んだ市船橋高は、1走の篠原美咲、2走の供田柚香、3走の山田裕未が力走し、中京大中京高と競り合いながらアンカーの佐藤葵唯につないだ。佐藤は前半こそ中京大中京高の藏重みう(3年)にややリードされたが、中盤から猛追。前日に行われた100mで優勝した藏重に対し、5位と悔しさを味わった佐藤が意地を見せ、接戦でフィニッシュラインに飛び込んだ。しかし、結果は0秒03差で2年連続の2位。決勝は風を考慮して、バトンパスの足長を縮めたといい、「思い切って足長を延ばしていれば」(山田)と悔しがった。それでも、45秒45は市船橋高の学校最高で、高校歴代8位タイに入る立派な記録。山田は「この4人で走れて良かった」と涙をこらえた。

2位に入った4×100mR。写真は3走・山田から4走・佐藤のバトンパス(写真/黒崎雅久)
2位に入った4×100mR。写真は3走・山田から4走・佐藤のバトンパス(写真/黒崎雅久)

 4日目を終え、総合では中京大中京高を1.5点差で追う展開に。迎えた最終日、三段跳で主将の佐々木千翔(3年)が奮起した。3日目の走幅跳で3位にとどまり、「このままでは帰れない」と、三段跳に向けてすぐに気持ちを切り替えたという。5回目まで5位につけていたが、佐々木には逆転する自信があった。そして、後藤彰英先生から「しっかり跳べば勝てる」と励まされて臨んだ最終6回目に大逆転。「自分が(1位で)8点を取らないと総合優勝は厳しい。“絶対に優勝してくる”とみんなに言って出てきたので、有言実行できて良かったです」と、総合優勝に望みをつないだ。ただ、中京大中京高もその後に行われた100mHで同じく8点を獲得し、1.5点差のまま、4×400mRでの決着に持ち込まれた。

主将の意地を見せ、最終日の三段跳で逆転優勝を果たした佐々木(写真/中野英聡)
主将の意地を見せ、最終日の三段跳で逆転優勝を果たした佐々木(写真/中野英聡)

市船橋高からすれば、優勝しても、中京大中京高が2位に入れば総合は取れないという状況だったが、4人のメンバーは最終種目の勝利に全力を傾けた。1走の篠原でトップに立つと、2走の宮地利璃香(2年)が差を広げた。決勝のみ3走に投入された志水芹菜(2年)は前半に追い込まれたものの、後半は粘ってトップでアンカーの佐藤へ。佐藤は「絶対に負けない。優勝するぞ、という強い気持ちでした」と後続を振り切った。

中京大中京高が2位に入り、市船橋高は惜しくも総合優勝を果たせなかったが、インターハイ75年の歴史に刻まれる活躍ぶり。まさに、史上最高の激闘だった。今大会で引退する供田は悔しさをにじませながらも、「お互いの良いところを出し合って頑張れました」と、大切な仲間たちと戦い抜いたことには満足した様子。最後は誰もが笑顔になり、「みんなで練習を乗り越えてきたことが報われた」(篠原)、「大好きな先輩や同期と走れた」(志水)と、チームの深い絆に胸を張った。

閉会式終了後、市船橋高の後藤先生と中京大中京高の4×400mRや中距離を指揮した岩﨑万知先生が健闘を称え合っていた。共に新潟県出身で、同い年の2人。岩﨑先生が「しびれる展開だったね」と言えば、「ウチとしては、入賞すべき選手がみんな入賞しての結果」と後藤先生。2018年の三重インターハイから総合4位以内を守っている市船橋高は、今大会で届かなかった0.5点の重みを忘れずに、頂点への挑戦を続ける。

文/石井安里 写真/椛本結城、黒崎雅久、中野英聡

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