3日、東京・後楽園ホールで行われたノンタイトルのミドル級10回戦は、OPBF東洋太平洋同級チャンピオン竹迫司登(たけさこ・かずと、31歳=ワールドスポーツ)が、元同スーパーウェルター級王者ニワット・コンカン(37歳=タイ)を3回1分57秒TKOに下した。
文_本間 暁
写真_山口裕朗
最終的には力技でねじ伏せた竹迫だが、昨年5月以来のブランクの影響なのか、はたまた“課題”を克服できていないのか。竹迫の良さが発揮されたとは言い難い試合だった。
迫力こそないものの、妙なタイミングで放つ二ワットの攻撃は、竹迫から冷静さを奪った のらりくらりと上体を左右に揺すりながら攻撃をかわす二ワットに、竹迫の気持ちは揺さぶられたように見えた。そこへ威力こそ欠くものの、パチパチと左ジャブを貰う。だから余計にムキになって打ちにいき、空振りを繰り返す。セコンドの齊田竜也会長から「足!」と、ステップを使うようしきりに指示が飛んだが、重心が浮いて、上体ばかりで打ちにいってしまう。「右ストレートボディ!」の指示は重心を沈めさせるためにも効果的と思われたが、竹迫は打たなかった。
竹迫は、得意の左ボディブローから展開を切り開いた 2回、強引に距離を詰めていき、右を合わせて最初のダウンを奪うと、右から返す左ボディブローが決まりだす。その後、頭を巻き込むように打った左フックで引き倒す形となったがレフェリーはノックダウンをコール。立ち上がった二ワットは、サウスポーにスイッチして生き残りを模索するが3回、左右のボディアッパーから右を決めて都合3度目のダウンを奪うと、レフェリーは試合を止めた。
最後は強引に仕留めきった パワーパンチが魅力的な竹迫だが、リズムを感じられなかった。それは本人がいちばんわかっているはず。左ブローの使い方なのか、ステップワークで取るのか、上体や肩、グローブの動きで拍子を取るのか。竹迫自身のやり方があるはずで、そこを見つめ直す時間がこれからきっと待っているのだろう。
竹迫の戦績は15戦14勝(13KO)1分。ニワットは21戦11勝(8KO)9敗1無効試合。
★その他の試合結果右の相打ちで常に優った大保(右)◆フェザー級8回戦◆
○
大保龍球(おおほ・りゅうきゅう、26歳=神奈川渥美)
●
入口裕貴(25歳=横浜光)
判定3-0(78対74、79対73、79対73)
ゆったりと立ち上がった元日本ランカーの入口に、大保は思いきった先制攻撃を仕掛けて初回から主導権を握った。その後は漫然と近づく入口に、ジャブ、右クロスとヒット。おびき寄せながら、左右のアッパーカットで急襲し、さっと距離を取るなど、バラエティに富んだボクシングを展開。テンポを変えた攻撃は、これまでのキャリアではあまり見たことのない、大保の新たな一面だった。
入口も、大保の疲れに乗じて左ボディブローから右ストレートで捕まえにかかるが、すっかりペースを奪われており、逆転するほどの力も冷静さも残っていなかった。
かつてのダイナミズムが影を潜めている入口。大保のボクシングが冴えていたとはいえ、打たせ過ぎなのも気になった。
ナイスパフォーマンスを見せた大保の戦績は14戦9勝(5KO)5敗。復帰、ジム移籍2戦目に敗れた入口の戦績は16戦11勝(5KO)4敗1分。