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2022-09-03

【ボクシング】次はネリ? カシメロ? 赤穂亮が完璧初回KO披露し、年内にビッグマッチへ──

ダイナミックな左アッパーは“魅せパンチ”

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 3日、東京・後楽園ホールで行われた55.8kg(スーパーバンタム級+500g)契約10回戦は、WBO世界スーパーバンタム級12位の赤穂亮(あかほ・りょう、36歳=横浜光)が、元IBO(※日本未公認)スーパーフライ級王者エドリン・ダプドン(36歳=フィリピン)を初回2分47秒KOで破り、年内に計画しているビッグマッチへ向けて、狼煙を上げた。

文_本間 暁
写真_山口裕朗

 わずか167秒の戦いだったものの、“ジャパニーズ・フラッシュ”のニックネームどおり、赤穂の魅力がギュッと濃縮された試合だった。

 立ち上がり、左ジャブに右を狙われた以外は、ダプドンの攻撃を距離、ボディワーク、パーリング、スウェーバックで完璧にかわした。「あの距離で戦えば、相手に何もさせない」。本人が自負する間合いを築いたのは、左ジャブと安定した下半身だった。

右ストレートの打ち終わりのバランスもよかった
右ストレートの打ち終わりのバランスもよかった

「体を流さない。ステップを含めてしっかり立つ。そうすれば、元々ディフェンスはいいのでパンチを貰わない。このイメージを続けてほしい」という石井一太郎会長の言葉がすべてだ。

 格別な切れ味とタイミングを備えているにもかかわらず、強打、豪打を当てたい気持ちが逸ってバランスを崩す、上体が突っ込む。そういう“悪癖”が顔をのぞかせることも多い赤穂だが、この日は下半身に粘りがあり、攻防に流れるようなリズムがあった。ジャブで距離を作り、右ストレートにつなげる。豪快な左右アッパーを振り上げてもバランスは乱れない。だから続けて放つ左フックや防御体勢へもスムーズに移行できる。ダプドンは、パンチを打ちこむ間合いすら与えてもらえなかった。

得意の左フックは振りすぎず、威力も変わらず
得意の左フックは振りすぎず、威力も変わらず

 互いの距離が縮まり、そこからスッと身を引きながら左ショートフック。これがダプドンの側頭部を打ち据えると、一瞬間を置いてダプドンは崩れ落ち、両ヒザを着いたままテンカウントを黙って聞くほかはなかった。

ダメージ濃厚のダプドンは、呆然とカウントを聞いた
ダメージ濃厚のダプドンは、呆然とカウントを聞いた

「前回はリカバリーで体重を戻し過ぎたので、今回は3.6~3.8kgに抑えた。それと、相手が強いので緊張感を持ってできたのがよかった」と赤穂。丁寧さと野性味溢れる豪快さ、その両面を短い時間ながら、しっかりと披露できたことは大きい。

続けるか否か。自分自身を判断する試合を求める赤穂。左は石井会長。 写真_本間 暁
続けるか否か。自分自身を判断する試合を求める赤穂。左は石井会長。 写真_本間 暁

 精神的にも、スパーリングパートナーとしても長年交流のあるあのノニト・ドネア(フィリピン)には「『(ボクシング人生の)終わりを考えず、先を見なさい』とアドバイスを受けた」という赤穂。試合後の会見で、石井会長から年内に「ネリかカシメロのいずれか」とのビッグマッチ予定が明かされた。
 ルイス・ネリ(元WBCバンタム&スーパーバンタム級王者、メキシコ)、ジョンリエル・カシメロ(元IBFライトフライ&フライ級、WBOバンタム級王者、フィリピン)。日本のファンにはおなじみの“悪名高き”両選手だ。ともに本能剥き出しで荒々しく、身体能力が並外れており、世界タイトルマッチではなくとも、赤穂との戦いが実現すれば、こんなにおもしろいカードはない。

「ここまでやってきて、いい加減“答え”がほしい。このままボクシングを続けていいのか、躓いてやめるのか。そういう試合」(赤穂)

 スリリングになること必至の1戦──正式決定を待ちたい。

 赤穂の戦績は43戦39勝(26KO)2敗2分。ダプドンの戦績は44戦35勝(21KO)8敗1分。

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