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2022-04-02

【ボクシング】世界ランカー赤穂亮が不満の判定勝利

得意の左フックを連発した赤穂だが倒せず

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 2日、東京・後楽園ホールで行われたスーパーバンタム級8回戦は、WBO11位、IBF12位にランクされる赤穂亮(35歳=横浜光)が、元日本ランカーの中川麦茶(33歳=一力)を79対73、79対73、77対75の3-0判定で下した。

文_本間 暁 写真_菊田義久

 まるで敗者のように、勝者・赤穂には一片の笑みもなかった。

 対戦相手の中川は、かつては全日本新人王も獲得した長身のスタイリッシュなボクサーで、日本ランクも上位にいた選手。だが、2019年8月の試合を最後に翌年から引退状態となっていた選手。ブランクの長い中川を相手に、赤穂は世界ランカーとして、3度目の世界挑戦をアピールしたい試合だった。

 初回、中川得意の左ジャブを浅く貰い、さらに右ストレートの打ち下ろしをヒットされ、若干足をもつれさせた赤穂。だが、必殺の左フックをガードの上からでも叩きつけ、空振りしても圧を与え、ペースを早々に握り返した。

互いに1発打ってはクリンチというシーンも再三あった
互いに1発打ってはクリンチというシーンも再三あった

 しかし、いつまで経っても、フィニッシュへのスイッチは入らなかった。豪快な左フックを上下に叩きつけるのは効果的だったが、いずれも単発に終わる。右ストレートも序盤こそ打っていたが、いつの間にかスイングになってしまい、また右の打ち終わりには軸足(右足)が跳ね上がってしまい、返しのブローを打つに至らない。左フックで中川に右を出させなかったが、自身も中川の左を防ぐためか、右を出すことが極端に少なかった。右を出せば、得意の左がさらに効果を増す。リズムにも乗る。そういうシーンは皆無と言ってよかった。たしかに上体を柔らかく使う中川の上手さもあって、空振りさせられた面もあるが、ここ数年、進化を遂げていた“フィニッシュへの伏線”は、ついに披露できなかった。
 
 赤穂の戦績は42戦38勝(25KO)2敗2分。中川の戦績は34戦24勝(14KO)7敗2分。

鯉渕の右が向山の顔面を捉える
鯉渕の右が向山の顔面を捉える

 前座で行われたライト級8回戦は、1月に清田亨(大橋)を2回TKOして日本ランカーとなった(ライト級3位)向山太尊(23歳=ハッピーボックス)と鯉渕健(25歳=横浜光)が対戦。

 サウスポースタイルから繰り出す左ストレートがKOパンチの向山に対し、鯉渕はガードを固めて距離を詰め、執拗にボディを攻めながら、右のオーバーハンドを決める。元来、上体が立っていて、シャープな腕の振りだけで威力を出す向山の攻撃が、距離を潰されてボディを攻められたことでまったく生きない。また、下半身にどっしりとした安定感がないため、対照的に低くどっしりと攻める鯉渕に煽られて、体が揺らぐ。左右のショートアッパーを突き上げたものの、ヒットしても鯉渕を後退させるには至らなかった。

 3回終了とほぼ同時に、鯉渕の右がヒットすると、向山の体はガクガクに。続く4回、ダメージを引きずる向山を、鯉渕は左右の連打で攻め立てる。完全に下を向いてしまった向山を、レフェリーが救った。タイムは50秒。

 日本ランク入りを決定づけた鯉渕の戦績は14戦8勝(7KO)5敗1分。向山は10戦7勝(4KO)3敗となった。

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