13日、東京・後楽園ホールで開催されたフェザー級8回戦は、同級9位の松本圭佑(23歳=大橋)が、プロ15戦のキャリアを持つ石田凌太(26歳=角海老宝石)を2回1分43秒TKO勝ちで下し、プロデビューから6連続KO勝利を飾った。文_杉園昌之(松本対石田)、本間 暁(中垣対吉田、重里対スマボン)
写真_山口裕朗
初回の3分間で松本は、多くの情報をキャッチしていた。慎重に左ジャブを突きながら、しっかり距離を把握。石田のパンチが出てくる軌道、そしてタイミングまでつかんでいた。
「ジャブを突いたあと、(石田は)右ストレートを打ってくるときに前のめりになると感じました。これは狙えるなと思いました」
初回から強いジャブをヒットしてみせた 試合前は右のパンチで仕留めるイメージを持っていたものの、リングの上で拳を合わせて柔軟にプランを変更したという。カギとなったのは左フック。相手が懐に入ってくるタイミングでカウンターが合っていたのだ。
そして、迎えた2回。前に出てくる相手をしっかり引き込んで、狙いすました左フックを一閃。パワーあふれる一撃がヒットした瞬間、レフェリーが気を失うように倒れかけた石田を抱きかかえた。
カウンターを浴びて棒立ちになって回転した石田に、ワンツーの追撃。レフェリーが飛び込んでストップした パワーとスピードで圧倒した期待のホープは、試合を重ねるごとに輝きが増している。
「徐々にランキングを上げて、強い相手に今日のような勝ち方をして、チャンピオンを目指していきます。(テレビ番組の)『ミライ☆モンスター』に出演したイメージがまだ強いですが、「未来」が取れてモンスターと言われるようにしたいです」
松本の戦績は6戦全勝(6KO)。石田の戦績は15戦11勝(6KO)4敗となった。
中垣の左がヒット 53.0kg契約8回戦は、中垣龍汰朗(22歳=大橋)が吉田京太郎(25歳=ワタナベ)に76対76、77対75、78対74の2-0判定で勝利。
前の手の駆け引きに始まった試合は、サウスポーの中垣が左ボディアッパーのカウンターを決めれば、吉田は中垣の左打ち終わりに右を合わせる戦い。真正面でのやり取りが続く中、攻防の技術で中垣が一歩リードしている印象を与えるものの、吉田も左フックや右をコツコツと浴びせて中垣に完全にペースを渡さなかった。
中盤以降、至近距離での戦いとなり、中垣の左ボディアッパーが吉田にダメージを与えたが、連打のつなぎに半拍置く中垣の攻撃を突いて、吉田は間を置かない連打で反撃してみせた。
吉田も負けじと右を返した
中垣は、3ラウンドに見せた回り込みや、ステップバックからの攻撃を使えれば、より勝利を明確にできたかもしれない。ボディを効かされたものの、そこからの粘りや手数での反撃を見せた吉田の善戦も光った。
2戦連続引き分けを演じていた中垣は、昨年1月以来の勝利で5戦3勝(2KO)2分。2009年全日本スーパーフェザー級新人王で元日本ランカーの兄(恭輔)を持つ吉田は3戦2勝1敗。
巧さでは重里が上回った 前戦で元日本2階級制覇王者・黒田雅之(川崎新田=引退)に勝利し、一躍名を上げた日本スーパーフライ級15位の重里侃太朗(じゅうり・かんたろう、26歳=仲里)が、WBOアジアパシフィック同級11位ダンリック・スマボン(23歳=フィリピン)とスーパーフライ級8回戦を行い、75対77、77対75、76対76の1-1の引き分けに終わった。
サウスポーで、体がひと回り大きい重里に対し、スマボンはまったく臆するところがなかった。下がりながらも重里のフェイントからの攻撃に耐え、タイミングを速めたり遅めたりの右を飛ばし、強い連打を何度も繰り返した。
力強さでスマボンがリード しかし、グローブや腕を使って前でさばくのに長けた重里は、クリーンヒットを許さず、上体を左右に動かしてかわしながらリズムを取るボクシングを披露した。4ラウンドには右ダブルからの左でスマボンをのけ反らせ、5ラウンドには右をかわして左を決めたものの、スマボンは失速せず。逆にスマボンは7ラウンドに強烈なワンツーをヒットして、重里をたじろがせた。
ペースメイクでは重里が上回ったかに思えたが、スマボンの迫力ある連打もジャッジに指示されたようだ。重里は5戦4勝(2KO)1分。スマボンの戦績は15戦12勝(9KO)2敗1分。