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2022-09-24

“かつてないDDT”への期待が懸かる樋口和貞vs竹下幸之介

樋口(左)と竹下

DDTのKO―D無差別級王者・樋口和貞が9月25日、東京・後楽園ホール(午前11時30分開始)で竹下幸之介を相手に2度目の防衛戦をおこなう。樋口は7・3後楽園でKING OF DDTトーナメントを初優勝、遠藤哲哉が返上した同王座を初戴冠した。その後、8・20大田区では前王者の遠藤とタイトルマッチを闘い、初防衛に成功。同大会ではAEWを中心にアメリカで闘ってきた竹下が一時帰国。約4カ月ぶりに日本で試合をおこなったが、遠藤を倒した樋口が次期挑戦者に竹下を指名したことで9・25後楽園における王座戦が決まった。

 AEWではハングマン・ペイジやジョン・モクスリーといった大物選手とも対戦してきた竹下。大きな結果こそまだ残せていないが、大型外国人を相手にパワーでも拮抗するなど、試合内容でツメ跡を残したうえでの一時帰国。9・25後楽園が終わればアメリカに戻ることを宣言しており、竹下が樋口に勝てばDDTの至宝は海外へと渡る。存在感を増して帰ってきた竹下について樋口は、客観的に「世界に通用する日本人レスラーの一人」と語り「ただ個人的に見ると、やっぱり竹下幸之介は竹下幸之介で、強いのは最初からわかっている。知名度も上がって華もあるなと思いますけど、根本は自分が闘ってきた竹下幸之介。そこは変わらない」と印象を語った。

 2020年8月のKODトーナメントで樋口は竹下にシングル初勝利を飾っているが「こっちとしてはシングルで1勝3敗なので、単純に負け越してる。星を取り返したい」との思いが強い。やはり、樋口にとって竹下は大きな壁。両者はタイトルマッチに向けた試合で激烈な攻防を展開して期待値を高めてきたが、樋口にとっては遠藤に続き、竹下をもKO―D無差別戦で破ることで、DDTにさらなる新風を吹かせることができる。文字通り、現在のDDTでの“強さの象徴”を決める闘いになるだろう。

 強さの象徴…樋口がここ最近ずっと掲げてきた言葉だが、竹下は常に「ナメられたくない」と口に出し続け、DDTで強さと向き合ってきた選手。その言葉を出すならば、8・20大田区の樋口vs遠藤は“まだまだ強さが足りない”との認識を竹下は持つ。

「そう見えたなら、そうなんじゃないですか。じゃあ、じっさい当たってみて、どう感じるか?」

 泰然自若と答えた樋口。竹下はアメリカで過ごした4カ月から「強くなれる環境には、僕のほうがいた」と言い放った。今回のタイトルマッチはシンプルに壮絶な内容が期待される一方、互いが過ごしてきた4カ月のぶつけ合いという側面もある。樋口は樋口で、自身のポジションを一気に上昇させる激動の4カ月を過ごした。

「あっちはあっちで大変な思いをして苦労をして、あっちでやってきて名を上げたと思いますけど、それはこっちも一緒。環境は全然違うし、傍から見れば“なんだそれ?”となるかもしれないけど、自分もKO-D無差別を巻いて(KO―D)タッグのベルトも巻いて、そのうえで普通に日常の仕事をこなしながらやっている。タイトルホルダーになりながら、DDTオンラインショップで仕事して、発送、梱包もしながら。人には見えない部分で濃密な4カ月を過ごしているし、あっちのアメリカでの4カ月とこっちの日本での4カ月…こっちも負けていない。DDTでプロレスラーとして活動する部分と、仕事の部分…そういうのをやっている人間も強い」

 プライドを持って樋口は話した。サイバーエージェントが親会社となっても、DDTにはいまだ反骨のインディー精神が変わらず残っている。6月のサイバーフェスでDDTはNOAHに完敗。アメリカから大会を見ていた竹下は、あの日の出来事が今年のDDTで“一番のトピック”になってしまうことを危惧していた。だからこそ、9・25後楽園では樋口との闘いで、その記憶を塗り替えるタイトルマッチをファンに見せようとの決意がある。これに関しては王者も「あれを乗り超えたうえでいまがあるわけですから、そこに関しては同感かなと思います」と話した。

 いずれにしても、今回の樋口vs竹下はターニングポイント。過去、両者の一騎打ちが少ないことも含め、雌雄を決する“過去最大の樋口vs竹下”には期待が大きい。王者はその決意をこう語った。

「もうちょっとでキャリア8年になりますけど、いままでシングルは4回しかない。数が少ないなか今回5回目。いまの樋口和貞と、いまの竹下幸之介の闘いにベルトが懸かっている…そこが一番大事なところなのかなと思います。あとは、このベルトに任せます。海を渡りたかったら海を渡っていけばいいし、留まりたかったら留まればいい。今回の勝負に関しては、どっちに転ぶかわからない。タイプは違うかもしれないけど、どっちも負けず嫌いで意地っ張りなところがあるので、紙一重になると思う。あとは、会場でもレッスルユニバースでも、リアルタイムでそれを感じていただけたら」

 樋口はDDTの強さの象徴だったKO―D無差別に過去、幾度も挑んでは負けてきた。ついにつかんだ栄冠だからこそ、ベルトの重みは強く感じている。「仮に(竹下を)倒したとしても、ここで止まったとしても、“KO―D”への挑戦はまだまだ続いていく」と語った。同王座の連続防衛記録を持つ竹下との闘いも、大きなテーマは「強さ」。これまでのさまざまな歴史と対峙しながら、樋口は“かつてないDDT”を見せるべく竹下と向き合う。

<週刊プロレス・奈良知之>

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