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2021-06-11

プロレスコミッショナー設立…サイバーフェス成功後の高木社長の野望【週刊プロレス】

サイバーフェスのエンディングでは参加4団体の選手が集って大団円

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コロナ禍のプロレス界で複数団体が集っておこなわれる初の大規模イベント「サイバーファイト・フェスティバル2021」(6・6さいたまスーパーアリーナ)は大盛況で幕を閉じた。NOAH、DDT、東京女子、ガンバレ☆プロレスのサイバーファイトグループ4団体、80選手超が参加した大会は本戦前を含め全15試合、5時間越えの超ボリュームとなった。

 コロナ時代においては参加人数を絞り、興行時間も可能な限り短縮というのが一般的だが、そんな世間の流れにあえてアンチテーゼをぶつけるのもプロレスの役目かもしれない。もちろんこのご時世なので細心の感染予防対策を徹底したうえで。

「プロレスで元気づけられるものもあると思います。武藤(敬司)さんが(大会前)会見で言ってましたが、プロレスで暗い世の中を元気にしたい。そういう気持ちです」

 サイバーファイトの社長であり、傘下団体のDDTとNOAHの社長でもある高木三四郎の思い通り、参加選手がステージ上で笑顔で揃った大会エンディングは、“プロレスの元気”があふれていた。高木社長としてはこうしたプロレスのお祭り的フェスは今後も続けていきたい意向がある。同グループとはいえ複数団体の試合を1枚のチケットで見られる大会は久々だったが、プロレスの魅力を広く伝える意味でも貴重。サイバーフェスのリングであらためて「業界1位」狙いを公言した高木社長は、今後の野望として興味深いことを口にしている。

「いますごく思ってるのはいまこそプロレス界のコミッション機関の設立。去年(4月)、7団体が集まって馳浩(衆議院)議員へ要望書を提出しに行ったこともありましたけど、音楽業界は複数団体が集まってライブに対する補償を国に正式に求めたりしてるんです。コミッション機関があって国に要請している。でもプロレスはそれがないから言えない。ひとつの団体が声をあげたところで何も進まないので」

 コロナ禍が続く現在、コミッショナーの必要性を感じているプロレス関係者は少なくない。一方でプロレス界におけるコミッショナー設立の話は、アントニオ猪木の新日本とジャイアント馬場の全日本の2団体が激しく対立していた昭和時代から定期的に話題に上っては立ち消えてきた。それだけ実現は簡単ではないということ。だが高木社長はいまの自分の立場を鑑みて、こんな考えを抱くようになったという。

「去年までは正直そんなに考えてなかったんです。いらないんじゃないかとも思ってました。もともとうちはサイバーファイトとして4つの団体を運営してる会社でもありますが、いまこそ新日本、全日本、サイバーファイト…それ以外も合わさってコミッション機関設立。そうすれば国に対してものが言えるじゃないですか」

 高木社長は馳議員から「ひとつひとつの団体から言われてもなかなか対応できない」と苦言も呈されたといい、だからこそコミッショナー設立へ「動こうと思っています」という気持ちになった。

「そうしていかないといつまでもこういった状態。緊急事態宣言が出ても補償がないのに無観客を要請されて興行中止になったり。だからいまこそコミッション機関設立について話してもいいと思ってます。そこに動きたい」

 昨年1月にNOAHがサイバーファイト入りしてDDTと同グループになったのも、プロレス界からしたら“あり得ないこと”だった。コミッショナー設立も長いプロレス史を知っている者であればあるほど、“あり得ない”と思うだろう。しかしコロナ時代の現代は昨日までの非常識が明日の常識となったりするもの。高木社長の動きに注目したい。
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