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2021-12-22

小橋建太さんが分析する竹下幸之介「僕から見たら伸びしろはまだすごい」

D王優勝トロフィーを竹下に贈呈した小橋さん

DDTは12月22日、年内最後のビッグマッチ12・26代々木の王者・竹下幸之介vs挑戦者・岡林裕二KO―D無差別戦の立会人として、小橋建太さんの来場を発表した。現在は盟友・秋山準が所属ということもあり、小橋さんはここ最近DDTの会場を訪れる機会も多く、11月から12月頭にかけおこなわれたシングルリーグ戦「D王GRAND PRIX」では大会実行委員長も務めた。

 同リーグ戦は優勝決定戦で上野勇希を下した竹下が優勝。試合後、結果的に全勝優勝を阻まれ30分時間切れドローを喫した大日本・岡林とのタイトルマッチが決定した状況だ。

 小橋さんはあらためてD王GPを実行委員長として、以下のように総括。

「最初、高木(三四郎)社長のほうからG1、チャンピオン・カーニバル、N―1を超えるような、肩を並べるような大会にしたい、実行委員長を務めてほしいという声をもらいました。選手を指導するわけではないですけど、僕も実行委員長になるからには選手たちには熱い試合をやってほしい思いがあった。選手たちの試合に懸ける思いとか、伝わるのか何も感じないのか…そういう思いはありましたけど、(大会を終えてみて)見事にその思いは伝わったと思います」

 そのなかでも、竹下はKO―D無差別級王者としてリーグ戦を優勝。とくに開幕戦で大日本の怪物・岡林とドローとなった試合は“熱さの極み”のような闘いで、公式リーグ戦のなかでも格別の光を放つファイトを展開した。鉄人・小橋さんは竹下というレスラーをどう見ているのか?

「竹下君はチャンピオンで出場している以上、いつもがタイトルマッチ…たとえばタッグマッチであってもシングルマッチであっても、誰とやったってチャンピオンという意識をもって試合をしないといけない。それは、自分自身のこれまでやってきたプロレスラーとしての思いで、そういったものを伝えていきたいです。まして開幕戦は大日本のトップ選手が来ていて、チャンピオンとして負けるわけにはいかなかった。チャンピオンの意地、大日本代表の意地…それはお互いに負けられない思いがあったと思います。

 竹下君はすごくよく練習するし、身体能力もあるし体もでかい。ただ、26歳にしては落ち着きすぎているというか。人間的にはいいことなのだけど、リング上でもそういった落ち着きが出過ぎているというか。(竹下を)必死にさせる“コイツ何やっても勝てないな”というようなヤツが出てきたら面白い。僕の時には大きい外国人選手がいましたけど、竹下君の必死さが見えたのが準とのKO-D無差別選手権試合(8・21川崎)だったんですよね。その必死さがもっと見えたら、面白いのかな。ほかの選手が相手だと、たぶん竹下君がそこまで必死にならなくても…(勝ってしまう)。(D王GPの優勝決定戦も)結局、横綱相撲みたいな感じだった。その必死さを出させる選手が出てきた時、竹下幸之介はもっともっと上がるんじゃないかな、というものを感じさせますよね。だから、僕から見たら伸びしろはまだすごい見えるんですよ。準との試合にはそれが見えた。これからどういう強敵が出てきて、どういうふうになっていくのか楽しみな存在です」

 熱っぽく竹下を分析した小橋さん。その点、竹下の必死さを引き出すという意味では、12・26代々木で激突する岡林はまさに格好の相手と言える。大日本でトップを張る怪物で、そのパワーはプロレス界でも屈指のレスラーだ。小橋さんは竹下vs岡林についても言及。

「(岡林は)縦(身長)はそんなにデカくないけど、横はごつい。持ち上げづらい選手ではありますけど、竹下選手も大きいので。パワーは岡林選手のほうがあるでしょうけど、(竹下も)駆け引きなしで正面からぶつかり合うことのできる選手ですから、面白い試合になる。この間は30分時間切れ引き分けだったので、決着つけるまでやってほしい。まあ、思いっきりやってほしいですね」

 竹下vs岡林については、小橋さんの期待値も大きい。あらためて、竹下に関して小橋さんは期待を込め、こう語った。

「自分の“隠れたもの”をどんどん出してほしい。自分のわからないものが、試合によって引き出されていく。(対岡林は)そういったもののぶつかり合いになったら面白いかなと思います」

 たしかに竹下も12・5後楽園のD王GP優勝戦の試合後、本誌の取材に「鍵がかかっていた部分がいっぱいあった。この1年で、一つずつロックが開いて、解除されて、解放されていった」という表現で、自身の能力が全解放に向かっていったことを認識している。ただ、小橋さんはその力が、まだまだ竹下には秘められていると見る。

 竹下は21日におこなわれた会見で、岡林との闘いに向け「DDTと大日本の対抗戦でもある。対抗戦というと、新年早々に日本マット界注目の対抗戦があると思うんですけど、もちろんそこも意識して。いまこそ、DDTと大日本がやってきた意地を見せる時だと思うので、僕たちの試合、おおいに期待して注目してください」とコメント。新年早々の対抗戦とは、新日本vsNOAHがおこなわれる1・8横浜アリーナを指す。その対抗戦に、“DDTvs大日本”で勝負を懸けんとする覚悟…もちろん、岡林もその言葉に呼応し、気迫をみなぎらせていた。

 小橋さんの語る竹下の秘められた能力が、タイトルマッチという舞台で岡林と激突することで、また一つ開花する可能性がある。

<週刊プロレス・奈良知之>

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