31日、東京・大田区総合体育館で行われたWBO世界フライ級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンの田中恒成(24歳=畑中)が、挑戦者10位・ウラン・トロハツ(26歳=中国)を3回2分29秒KO。3度目の防衛に成功した。
上写真=高速の左右アッパー連打! ボディを意識していたトロハツは、まんまと“トリック”にかかって倒れこんだ
ジャブ、フック、アッパー。多彩な左が機能しまくった
これが田中恒成のボクシングだ!──。初回からエネルギーに溢れ、切れ味鋭い左ジャブ、右ストレートを次々に繰り出していく。2回からは、武器となる左ボディブローを連発し、世界初挑戦のトロハツを弱らせる。速射連打の左から右と、速いコンビネーションもスムーズに打ち出す。
左ジャブが機能し、肩、脚と連なっていき、体全体でリズムを取り続けることができるから、攻撃のテンポがグングンと上がっていく。そしてその相乗効果として、トロハツのリターンを、足を使った距離で外すこともできる。1、2回ですっかりペースを掌握し、相手の力量もつかみ切った。そして3回。
右アッパーカットから左アッパーのダブル──。
それまでに左ボディブローを打ち込まれて警戒心を強めていたトロハツは、右からの返しの左ボディブローを強く意識していたはずである。そこへ右アッパーが“目隠し”となり、さらにボディに来るはずのタイミングだった左アッパーが、顔面へ来たのだからたまらない。ロープ際にバッタリと倒れた挑戦者は、ついに10カウント内で立ち上がることができなかった。ものの見事に“伏線”を張った、田中恒成のパーフェクトショットだった。
“モンスター”井上尚弥(大橋)に比肩する逸材と認識し、『ボクシング・マガジン』本誌では、彼のデビュー以来、そういう存在として追いかけ続けてきたが、ここ数戦は本来の「スピード&テクニック」が鳴りを潜め、強引なフィジカル勝負の戦い方が目立っていた。相手のレベルに合わせてしまう“いい試合”も続いていた。試合前の最終調整がうまくいかず、体重を落とすことが主目的となり、結果、自身のパフォーマンスに影響するという悪循環が繰り返されていたからだ。
だが、今回は前戦(8月)の反省を踏まえ、試合後からウェイトをキープ。また、マスク着用を徹底し、風邪対策も万全に行った。
「今日の試合に関しては満足しています。その最大の要因は『自覚』です」
追いかけて追いつきたい存在は井上尚弥。並の世界チャンピオンでなく、トップ・オブ・ザ・トップ。そういう存在になれる資質があるにもかかわらず、殻を打ち破れない。だが、そろそろ“何か”を示さなければ、ひと皮剥かなければ、オレはこのまま終わってしまう──。田中恒成には、相当の危機感が芽生えていたのだと思うし、そうあってほしいと願ってきた。相手うんぬんではなく、自分本位の、自由自在なボクシングを披露してほしいと思ってきた。井上尚弥がそうであるように……。
もっとも苦手だったロードワークも、河合貞利フィジカルトレーナーに尻を叩かれるまでもなく、自らの意思で妥協せずに取り組んだ。メンタルの強化。それが成されたからこそ、体重調整、コンディショニングへのこだわりにも波及効果を生んだ。
傷ひとつない顔。本来の動きを披露して、攻防バランスも冴えた結果だ
「でも、ここ数戦にあった“もやもや”は、まだ晴れない」
現状の田中恒成は、相手のレベルどうこう以前に、自らの高いパフォーマンスを披露する理由があった。だが、今度は相応の相手と対峙して、それを示していく。そんな強い決意が感じられた。
「2020年は、明確な目標をまだ抱いていないけれど、本当に強くなりたいんです。だから、みなさんがワクワクする試合をしていきます」
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と並ぶ、世界最速3階級制覇を達成し、すでに記録では名チャンピオンとなっている田中恒成。だが、真のトップへと登りつめていくための“狼煙”。今日の一戦は、それほど重要な試合だったように感じる。
文_本間 暁
写真_菊田義久
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