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2022-10-07

【ボクシング】すべての距離を支配する──中谷潤人が公開スパーリング

2階級制覇を目指す中谷

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 11月1日(火)、さいたまスーパーアリーナでスーパーフライ級10回戦のテストマッチ(vs.フランシスコ・ロドリゲス・ジュニア=30歳、メキシコ)に臨むWBO世界フライ級チャンピオン中谷潤人(24歳=M.T)が7日、所属ジムでスパーリングなど練習を公開。順調すぎる出来栄えを披露した。

文&写真_本間 暁

試合を作るのは、やはりリードブローだ
試合を作るのは、やはりリードブローだ

 開始早々のオープニングヒットはもちろん中谷が奪った。遠い距離からスッと出した右リードジャブ。これで主導権を握ると、緩やかな体のリズムから、素早い腕のフェイント、ゆったりとした右フックを見せておいて、左ストレートを上下に伸ばす。外を意識させておいて、内側に逆の手のアッパーカットを突き上げる。スルスルッと自らロープを背負って相手を誘い、敢えて攻撃をさせてそれをカバー。空いたところへカウンターを狙う。長い距離、中間距離はもちろんのこと、接近戦でも左右のアッパーでリード。放つブローの長短、強弱、緩急はストレート、フック、アッパーといずれも自在。それらを司っているのは、広いスタンスを小さな足運びでキープする足だ。

右構えから左アッパー
右構えから左アッパー

 パートナーの内構拳斗(うちがまえ・けんと、22歳=横浜光)は、7月にプロデビューしたばかりだが、山形県立神室産業高校、拓殖大学時代にアマチュアキャリア豊富な2階級上(スーパーバンタム級)の選手。所属ジムも大いに期待しているホープである。
 その内構も、誘われているのはお見通しだが、ロープを背負う中谷に果敢に打ちかかった。右がヘッドギアを捉えたシーンもあったが、ガードとボディワークにその大半は寸断され、王者のリターンの迫力が勝る。接近戦では、フィジカル勝負をさせてもらえない位置取りをされてアッパーを食った。インターバル40秒の3ラウンドは、中谷がコントロールしきったが、このホープには大きな財産となるはずだ。

フックでガードの外を叩いて意識させ左ストレートボディ
フックでガードの外を叩いて意識させ左ストレートボディ

ロープを背負って内構を誘う

ロープを背負って内構を誘う

内構の呼吸を読んで、左アッパー
内構の呼吸を読んで、左アッパー

「左7、右3の割合」で試しているオーソドックス・スタイルも、中谷は違和感なくスムーズに実践で披露した。「右で戦うという意識よりも、空間を作るという意識のほうが強い」と言う。相手との間合いを変化させ、攻防に生かす。向かい合う者の距離感も狂わせる。もちろんシャドーボクシングやサンドバッグ打ちでも右構えにスイッチして動くが、実に滑らかに取り入れている。

サンドバッグ打ちでも、しっかりとアゴを引いて構える
サンドバッグ打ちでも、しっかりとアゴを引いて構える

左ストレートを打つ後ろ姿
中谷独特の左ストレートフックを打つ後ろ姿

右フックはこういうスタンスと体重移動
右フックはこういうスタンスと体重移動

「もちろん、2階級制覇を目指しています」という中谷に対するロドリゲス・ジュニアも、メキシカン特有の独特のタイミングを持つくせ者。しかし、この日の中谷の出来栄えを見ると、どの距離も支配し、テンポの上げ下げを自在に操るこの技を、メキシカンはどう防げるのか? という思いに溢れてしまうのだ。

 明後日(日本時間9日)、アメリカ・カーソンでIBF世界スーパーフライ級タイトルマッチが開催される。前王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)が、フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)にリベンジを懸けて臨むもの。標的のひとつであり、「もちろん気になります」という中谷は、「アンカハスがどれくらい仕上げてくるか」注目しているという。

 猛者集うスーパーフライ級だが、中谷が彼らの動向を見ているのと同様、彼らも「ジュント・ナカタニ」の次戦に熱視線を注ぐはずだ。

中谷:23戦23勝(18KO)
ロドリゲス・ジュニア:42戦36勝(25KO)5敗1分
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