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2019-12-27

【ボクシング】エディ賞の高橋智明トレーナーがワタナベジム卒業

恒例となった大晦日のボクシング興行が近づく12月26日、ワタナベジムの高橋智明トレーナー(43歳)が、1999年から20年にわたって勤めたジムの最終日を迎えた。

写真上=高橋トレーナー愛用の名前入りボディプロテクターは河野公平さんからプレゼントされたもの

内山高志、河野公平を世界へ導く

ワタナベジムで最後の指導を終えた高橋トレーナー。右は源大輝、左は宇津木秀

 ジム初の男子世界王者・内山高志さんのWBA世界スーパーフェザー級王座奪取をサポートした『チーム内山』の一員としての2011年、元WBA世界スーパーフライ級王者の河野公平さんを世界に2度導いた功績が認められた2015年と、トレーナーの栄誉を称える『エディ・タウンゼント賞』の2度受賞は、高橋トレーナーただひとり。数多くのチャンピオンを輩出してきた名門ジムを支えた名指導者は、妻子の待つ静岡に戻り、年明けから駿河男児ジム(静岡県富士市)に活躍の場を移す。

 岩手・水沢農業高時代にインターハイ・バンタム級準優勝。卒業後に上京し、東京農大でアマチュアキャリアを続行したが、進学後に病気が判明。大学3年のときに現役を断念せざるをえなかった。マネージャーとしてボクシング部にとどまりながら、プロのトレーナーを志し、『ボクシング・マガジン』のワタナベジムの広告にあった「トレーナー募集」を頼りに応募したのが指導者人生のスタートだったという。過ごした年数も長く、思い出は2014年11月に移転する前のジムに、より多く詰まっているというが、5年過ごした現在のジムを見渡し、「さすがに寂しいですね…」と感傷にひたった。

新天地・駿河男児ジムで
初王者の育成めざす

次々にミットを受ける高橋トレーナー。選手は上から中山佳祐、高山涼深、源大輝

 暮れも押し迫り、いつもより選手の数が少ないなか、小口忠寛トレーナーが担当する元東洋太平洋フライ級王者の中山佳祐と4ラウンド、日本ユース・スーパーフライ級王者の高山涼深と3ラウンド、熱のこもったミット打ちを行う。その間に担当していた元日本フェザー級王者の源大輝、日本ライト級8位の宇津木秀が姿を見せ、最後に源と惜別のミット打ちを2ラウンド。大粒の汗とともにワタナベジムのトレーナーとしての仕事を締めくくると、居合わせた選手、トレーナーに拍手で送られ、古巣に別れを告げた。

 新天地の駿河男児ジムは、2010年4月のオープンから間もなく10年の節目を迎える。今年9月、ジム期待の22歳、村地翼が後楽園ホールで臨んだWBOアジアパシフィック・スーパーフライ級王座決定戦(8回TKO負け)がジム初のタイトルマッチ。まだ、チャンピオンは誕生していない。

 元プロボクサーでもある前島正晃会長(40歳)は地域貢献を掲げ、各種イベントとの併催など、趣向を凝らした自主興行を年1回、地元で手がける気鋭の若手会長。キッズ世代の育成にも力を入れている。その情熱に、高橋トレーナーの経験と手腕が加われば、地方からの大願成就もそう遠くないと思える。

 長く離れて暮らしていた家族のもとで、「気持ちも新たに頑張ります!」と言葉に力を込めた高橋トレーナー。ますますの活躍に期待したい。

取材◎船橋真二郎

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