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2019-12-26

初防衛戦の吉田実代、『ママ・パワー』全開で初KOだ!

大晦日、WBO女子世界スーパーフライ級タイトルの初防衛戦に臨む吉田実代が26日、練習を公開。4歳の愛娘・実衣菜ちゃんのエールを受け、初めてのKO勝利で挑戦者シー・リーピン(中国)撃破を誓った。

上写真=加山利治会長の持つミットに右ストレートを打ち込む吉田

「前回の試合で(世界チャンピオンになって)満足していたんですが、ビデオで見返すと距離の取り方や、つめるところで重心を見失ったり、それからナックルの返し方とか、改善しなければならないところも見つかって」

 31歳の吉田は懸命に練習に取り組んできた。3ヵ月前から開始したスパーリングは「数えきれないくらい」にやった。男子選手相手のマスボクシングもあったし、自衛隊体育学校での武者修行もあった。女子ボクシングのレジェンド、藤岡奈穂子(竹原慎二&畑山隆則=世界5階級制覇)と手合わせして、貴重なアドバイスをもらったこともある。

「今は万全の形で立ち向かえると思います」

 この日の公開練習はシャドーボクシングを2ラウンドと、所属するEBISU K's BOXの加山利治会長の持つミット打ちが1ラウンド。ごく軽めながら、ミットを叩く左フックとワンツーでたたく破裂音が甲高くはじけた。

 対戦する中国人選手シーについてはほとんどデータを持っていない。「ダイジェストの映像をトータルで3分間見たくらい」。長身でまだ21歳と若く、かなりのアマチュア経験があるのが分かっている程度。

「試合で何をやってくるかわからないから、たくさんと引き出しを作って、対処していきたいと考えています」

 そして、もうひとつのテーマはKO。ここまで14戦13勝1敗の吉田のキャリアにKO勝ちは一度もない。できれば、初KOで初防衛を花やかに飾りたい。

「減量は問題ないと思います。パワーをつけるトレーニングで筋肉量を3キロほど増やしてきました。どうも私は筋肉がつきやすい体質のようです」

 そんな吉田を支えているのは、実衣菜ちゃんの存在だ。「娘に教わることばかり」という。今度の試合でも、こんなことがあった。トレーニングに専念するため、実衣菜ちゃんを鹿児島の実家に預けていたのを迎えに行った。行くまでまる1日、帰りは朝5時起きの強行軍。さすがの吉田も疲れてしまった。

「実はマスクをしていたんですが、そんな私を見て娘が言うんです。『ママ、笑顔だよ』って」

 ボクシングは娘のためにやっていると吉田は言う。だから一切妥協するつもりはない。ただ、現状では世界チャンピオンと言えど、女子ボクサーは恵まれた環境にはない。この公開練習の後も、仕上げなければならない事務仕事が残っている。

 闘うシングルマザー、忙しくても優しいママは、一途に頑張るしかない。

「娘には教えられることばかり」。闘うママはいよいよ負けられない

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文◎宮崎正博 写真◎本間暁

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