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2022-10-14

【ボクシング】「必ず倒す!」。田中恒成が12月に世界ランカーと対戦

悲願の4階級制覇に向けて、足踏みはしてられない!

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 世界3階級制覇王者・田中恒成(27歳=畑中)が12月11日(日)、愛知県名古屋市の武田テバオーシャンアリーナで、スーパーフライ級10回戦を行うことを14日、所属ジムから発表された。対戦相手はWBO同級5位、WBC9位のヤンガ・シッキボ(28歳=南アフリカ)。現在、WBO1位、WBA4位、WBC4位、IBF5位と4団体すべてで上位にランクされている田中との世界ランカー対決となる。

取材・文_本間 暁

「前回よりはタフな試合になると思う。けれど展開は同じ。もちろん、必ず倒します」

 6月、無敗のWBOアジアパシフィック王者・橋詰将義(角海老宝石)を圧倒し、5回TKOに下した前戦で、あらためて突き抜けた存在を証明した田中。「(シッキボの)映像は1試合を少し見ただけ」と言うが、相手どうこうでなく、自ら再構築しているボクシングに、大いに自信を得ているという表れの言葉だ。

年末にかけて好カード目白押しの世界スーパーフライ級戦線。畑中会長とともに、最前線に立つことを誓った
年末にかけて好カード目白押しの世界スーパーフライ級戦線。畑中会長とともに、最前線に立つことを誓った

 9月から今月まで5週間、2度目のアメリカ合宿(ラスベガス、ロサンゼルス)に励んだ。3週間滞在したラスベガスでは名門トップランクジムを拠点に。ロサンゼルスでは、あのローマン・ゴンサレス(ニカラグア)と4分4ラウンドの手合わせも。同じく12月にファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)との3度目の対戦に臨むゴンサレスの「1ラウンド目のプレッシャーのかけ方」など、“レジェンド”の凄みを味わいつつ、「4階級制覇に向けて自信になった。イケるな! って感じです」と手応えももちろん掴み取ってきた。

 アメリカ滞在のラストでは、IBF同級タイトルマッチを観戦。王者フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)が前王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)を大差判定で退けた試合を目の当たりにし、「(マルティネスは)攻撃、プレッシャーなど目立つ部分に加え、ディフェンスも上手い。強さが際立っていた」と絶賛しつつ、「崩しようがあると思った」と勝機も見い出したという。
 田中曰く、「自分の中で、こうやって戦おうかなとか、いくつか選択肢が見えてきた。そうやって思えることが、自分の幅が広がったということで、これが成長したところです」。
 アメリカ合宿には「いい選手とスパーリングを重ねる」、「課題を見つける」、「チームで行って、日本と同じ環境を作る」というテーマを掲げ、それらを実現してきた。村田大輔トレーナー、後輩で気心知れた神谷啓太さん、多岐にわたり献身的サポートに務め、マッサージ、料理などマルチに活躍する林隆仁さんといういつものメンバーで臨み、日本と変わりなく振る舞い、より結束力を高めることができたようだ。

「日本、ましてや名古屋ではパートナーを探したり調整したりが大変だけれど、トップランクジムではその場でスパーの約束をして実現してしまうんですから」と村田トレーナー。その充実度は、田中の表情や言葉、動きを見ていても明白だった。

「背も高く、腕も長そう」(田中)というシッキボ攻略に自信を示した
「背も高く、腕も長そう」(田中)というシッキボ攻略に自信を示した

 かつてのようなド派手な動きは和らいだ。けれど、一つひとつの動き、型が、細かく緻密で実に丁寧になった。アゴの締め具合、打ち終わりの動作、ステップの幅……。ともすれば見過ごしてしまいそうになるが、これがハイステージになればなるほど、それらの有無が大きな分かれ道となってしまう。地味に地道にコツコツと。積み重ねてきた日々の努力が実りつつある。

 前日、4団体王座統一戦を発表した井上尚弥(29歳=大橋)と近々、ふたたびスパーリングで相まみえる。井上が望んだもので、大橋秀行会長から畑中清詞会長に連絡が入っての“再戦”となる。昨年も12月に試合を控えていた同士、2日間にわたってスパーリングを行い、“モンスター”の凄みを身をもって悟った。
「あれからちょうど1年。自分もアメリカに行ったり、落ちていた気持ちを持ち直したり……。自分の中にある変化を確かめたい」と田中。世界3階級制覇者同士の、超ハイレベルな戦いで、互いの次戦への刺激としたい。

田中:18戦17勝(10KO)1敗
シッキボ:19戦17勝(5KO)1敗1分
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