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2022-10-16

【ボクシング】井上尚弥の返上後狙う?WBA&IBF挑戦者決定戦はロドリゲスが負傷判定ながら無敗ラッセル下す

右カウンターをベースに、ボディカウンター、ジャブと相変わらずの上手さを見せたロドリゲス

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 15日(日本時間16日)、アメリカ・ニューヨークのバークレイズセンターで行われたWBA&IBFバンタム級挑戦者決定戦12回戦は、元IBF王者で同6位のエマヌエル・ロドリゲス(30歳=プエルトリコ)が、IBF4位ゲリー・アントニオ・ラッセル(29歳=アメリカ)に100対90、99対91、97対93の3-0で10回2秒負傷判定勝ち。WBAスーパー・IBF・WBC世界バンタム級チャンピオン井上尚弥(29歳=大橋)への挑戦権を獲得した。

Photos/Getty Images

 開始わずか16秒で終わった(バッティングによる負傷で無効試合)前戦(昨年8月)と同じ幕切れながら、ロドリゲスにとっては会心の勝利だった。

 初回、サウスポーのラッセルが積極的に左ストレートでボディを狙っていったが、ロドリゲスは右アッパーをボディに突き刺すカウンター。さらには距離を詰めて同じブローと見せておき、ラッセルの左ストレートを迎え打って右をリターン。早々にバランスを崩させてみせた。

8回終了間際、痛烈に倒されたラッセル。これでストップでもおかしくなかった
8回終了間際、痛烈に倒されたラッセル。これでストップでもおかしくなかった

 2019年5月、イギリス・グラスゴーで井上に2回KOで敗れ、IBF王座を強奪されたロドリゲスだが、短いラウンドながらカウンターパンチャーぶりを大いに印象づけており、この日のラッセルとの再戦でもその巧さを存分に発揮した。
 はっきりと狙いを定めていたのは右カウンター。両ガードをだらりと下げてラッセルの攻撃を誘発させ、細かい左右へのヘッドスリップ、小さなスウェーでこれをかわし、左ブローには必ず右をリターン。4回にもこれを決めてラッセルを泳がせたロドリゲスは、右アッパーを上下に打ってラッセルをさらに混乱させるものの、基本的には待ちのボクシングで隙を作らなかった。

 6ラウンドにはインサイドジャブをヒットさせてさらにリズムを築いたロドリゲスは、ワンツーもヒット。焦って前に出るラッセルを小さなステップでいなす巧みさも披露した。

 クライマックスは8ラウンドだ。さらに焦りを募らせたラッセルが、強引な仕掛けを見せたものの、ロドリゲスがジャブカウンタ―、ワンツーとヒット。ロドリゲスの右ボディアッパーに、ラッセルも左ボディアッパーをお返ししたが、これがローブローとなって中断。再開後、一気に距離を詰めてワンツーを放とうとしたところ、ロドリゲスが狙い続けていた右カウンターをドンピシャのタイミングでクリーンヒット。ドッとキャンバスに倒れ込んだラッセルは、辛くも立ち上がってガクガクとフラついたものの、ラウンド終了ゴングに救われた。

9回、打ちかかったラッセルの頭がハードクラッシュ
9回、打ちかかったラッセルの頭がハードクラッシュ

 ダメージが深いだろうラッセルを、続く9ラウンドに仕留めにいかないロドリゲス。ならばとラッセルが攻撃を強め、ワンツーを放つ際、頭がまともにロドリゲスの顔面を直撃。これで倒れ込んだプエルトリカンは休憩を与えられたものの、右目下をカットし腫らされた。

 コーナーインスペクター、ドクターのチェックが10ラウンド開始後も続き、レフェリーが試合続行不能と判断。場内からはブーイングも聞かれる不本意な終わり方だったが、ロドリゲスの快勝だったことは誰の目にも明らかだった。

会心の勝利を喜ぶロドリゲスと、完敗を認め拍手するラッセル
会心の勝利を喜ぶロドリゲスと、完敗を認め拍手するラッセル

 これでふたたび井上尚弥との戦いに臨む権利を得たロドリゲスだが、12月に4団体統一戦に臨む井上の、4団体統一後の返上等をにらむはずだ。

 ロドリゲスの戦績は24戦21勝(13KO)2敗1無効試合。ロドリゲスのカウンター戦法に対応できず、精彩を欠いて初黒星を喫したラッセルは21戦19勝(12KO)1敗1無効試合となった。

文_本間 暁(U-NEXT視聴)

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