11月20日に引退を表明した元WBA・IBF統一世界ライトフライ級チャンピオン田口良一(ワタナベ)が10日、東京・後楽園ホールで引退式に臨み、スパーリングとテンゴングでリングに別れを告げた。
写真上=内山さんに渾身の(?)左フックを打ち込む田口
「タグチ!」コールの中、ホールの花道を進んだ元チャンピオン。脇を固めたのはワタナベジムで最初にボクシングを習った洪東植トレーナー(現・角海老宝石)と、最後に師事した梅津宏治トレーナーだ。洪トレーナーがリングマガジン、梅津トレーナーがIBFのベルトをそれぞれ携え、田口自身はWBAのベルトを腰に巻いてリングインした。
最後を飾る3ラウンドの特別スパーリング、その相手を務めたのは、ワタナベジムの大先輩であり、ボクサーとして、人として多大な影響を受け続けてきた元WBA世界スーパーフェザー級チャンピオンの内山高志さん。豪華なカードに会場は湧いた。
少しお腹周りがぽっちゃりした田口。内山さんに余裕でさばかれてしまいながらも、闘志をむき出しにした連打でロープに詰める場面も作り、ファンを喜ばせた。
スパーリング後、マイクを手に「田口、お疲れさん」とエールを贈った内山さん。「今日はリスペクトする後輩のために、日曜日から酒をやめてきました(笑)。こんなに沢山のお客さんが来てくれて、田口は本当に愛されていると感じました。皆さん、第二の人生も応援してください」と言うと、ラーメン好きの田口に「ラーメン1年分」をプレゼントした。
田口は「18歳で世界チャンピオンを夢見て、ボクシングを始めました。みんなにはうまくいっていると思われていたようですが、決してそうではなく、何度も心が折れかけ、やめようと思いました。皆さんの応援のおかげで世界チャンピオン、7度防衛、2団体統一と……」と、ここまで言うと声を詰まらせ、「自分の夢を達成することができました。本当にありがとうございました」と感謝を込めて挨拶。涙をこらえつつテンカウントのゴングを聞き、思い出深いリングを降りた。

テンゴングを聞く田口
引退後はジム経営を目指すという田口。誰もが親しみを覚える謙虚さと、「顔に似合わず、負けず嫌いなんです」というその闘志で、新たな道を切り開いていくに違いない。
文◉藤木邦昭
写真◉小河原友信
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