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2019-12-08

【ボクシング】尾川堅一、悔しい負傷ドローでベルト逃す

7日、東京・後楽園ホールで行われたWBOアジアパシフィック・スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンのジョー・ノイナイ(フィリピン)と同級1位の尾川堅一(帝拳)が5回2分7秒負傷引き分け。ノイナイが2度目の防衛に成功した。

写真上=打ち合う尾川(左)とノイナイ

 五輪銅メダリストの清水聡(大橋)にプロ初黒星を与えたノイナイと、1度は世界のベルトを腰に巻いた尾川。アジアを代表するハードパンチャー同士の好カードは、期待に違わぬスリリングなスタートを切った。

 初回は「想定以上だった」というサウスポー、ノイナイのよく伸びてくる左ストレートにたじろいだ尾川。だが2回からセコンドの指示通り頭を振って対応すると、ノイナイの手数は減少。右のカウンターもノイナイを捉え、ペースを奪ったかに見えた。しかし、試合が面白かったのはここまで。

 サウスポーのノイナイと右構えの尾川。ともに鋭い踏み込みで正面から利き腕のパンチを当てにいき、バッティングが多発する。2回にノイナイが左目上、3回には尾川が右目上をざっくりとカット。ノイナイは4回にも左目上の別の箇所を切り、互いに大量出血に見舞われての凄惨な戦いを強いられる。5回、ドクターの診断で試合はストップ。ここまでの採点は三者三様のドローで、ノイナイがベルトを守った。

 傷の応急処置を終え、控室に戻ってきた尾川は敗者のようにうなだれた。「流れはつかんでいたし、これからというときだったので悔しい。子供にもベルトを約束していた。リングを降りるとき、子供に『ベルトは?』と言われて……」と言うと、絶句した。一方のノイナイは「判定についてはわからない。また日本で再戦してもいい」と話した。

文◉藤木邦昭
写真◉矢野寿明

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