秋のボクシングは今が花盛り。23日には4つのプログラムが中継される。もっとも期待大なのは、チャンピオンのデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)がルイス・オルティス(キューバ)と対するWBC世界ヘビー級タイトルマッチ。壮絶な打撃戦の末、ワイルダーがオルティスをTKOに破った戦いから1年半の時間をおいての再戦になる。前座にはルイス・ネリ(メキシコ)対エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)の一戦が予定されていたが、ネリのウェイトオーバーで試合は中止されている。4つのイベントはそれぞれ興味深いが、オリンピックの日本代表候補を選ぶ全日本ボクシング選手権も注目したい。同じ時間帯に3番組が重なっており、ボクシングファンとしては悩みに悩むところだ。
上写真=ワイルダー(左)とオルティスの再戦は打撃戦必至
午前4時/DAZN
エコーアリーナ(イギリス・リバプール)
WBAスーパー世界スーパーミドル級タイトルマッチ12回戦
カラム・スミス(イギリス)VSジョン・ライダー(イギリス)
191センチの長身から歯切れのいい強打を打ち込むスミス(29歳/26戦26勝19KO)の2度目の防衛戦になる。前戦では日本での村田諒大(帝拳)との対決が記憶に新しいアッサン・エンダム(フランス)を豪快に倒した。ライダー(31歳/28勝16KO4敗)は中堅ホープからいきなり強打に開眼。このところ強敵相手に4連続KOと絶好調である。スミスも軽視してはならない。
午前11時/WOWOW
MGMグランド(アメリカ・ネバダ州ラスベガス)
WBC世界ヘビー級タイトルマッチ12回戦
デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)VSルイス・オルティス(キューバ)
WBAスーパー世界スーパーフェザー級王座決定戦12回戦
レオ・サンタクルス(メキシコ)VSミゲール・フローレス(メキシコ)
WBA世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦
ブランドン・フィゲロア(アメリカ)VSフリオ・セハ(メキシコ)
細身のワイルダー(34歳/41勝40KO1分)は今回も99.6キロと100キロを割ってリングに上る。サウスポーの技巧派パンチャー、オルティス(40歳/31勝26KO1敗2無効試合)はいつもどおりの107.3キロ。前戦ではワイルダーがその圧倒的なハードパンチで、この体格差を跳ね返した。今回も予想は6対1と大差でワイルダー有利と出ているが、ややラフに過ぎるその戦法は危なっかしい。番狂わせの予感も常にある。
ウェストコーストの人気者サンタクルス(31歳/36勝19KO1敗1分)は4階級制覇をかける戦い。対戦するフローレス(27歳/24勝12KO2敗)は実績的に『?』。サンタクルスが偉業達成にいろどりを添えるためには圧倒的な勝利が必要だ。
すでにメディアで報道されているネリのドロップアウトだが、ほんとうにがっかりだ。計量で1ポンドのオーバーに、リスクを回避したいロドリゲスが試合を拒否してカード自体がなくなった。ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)に続く、井上尚弥(大橋)の対戦者とのネリの連戦。この試合を一番の楽しみにしていたファンも多かったはず。たび重なる裏切りに、プロとしての資格自体を問い直したい。また、WBA世界スーパーバンタム級戦では挑戦者のセハが、フェザー級リミットをも上回る57.4キロの計量。意図的なのかどうかは分からないが、試合の結果にかかわらず、こちらも厳罰に処するべきだろう。
午前11時/DAZN
WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦
アンドリュー・カンシオ(アメリカ)VSレネ・アルバラード(ニカラグア)
WBA世界フェザー級タイトルマッチ12回戦
シュー・ツァン(中国)VSマニー・ロブレス3世(アメリカ)
不敗のアルベルト・マチャド(プエルトリコ)を2度もストップに追い込んだカンシオ(31歳/21勝16KO4敗2分)は、ガスラインの点検が本業。いわばブルカラーの星。重いパンチが武器だ。一方のアルバラード(30歳/31勝20KO8敗)は一時、負けが込んだが、7連勝と立ち直っての挑戦となる。スーパーフェザー級には日本にも有力選手が多く、見逃したくない戦いだ。
午前11時/NHK・BS1
阿久根市総合体育館(鹿児島県阿久根市)
男子ボクシング全日本選手権&東京五輪予選代表決定戦
フライ級(52キロ級)
田中亮明(中京高校教員)対坪井智也(自衛隊体育学校)
フェザー級(57キロ級)
堤駿斗(東洋大学)対藤田健児(自衛隊体育学校)
ライト級(63キロ級)
成松大介(自衛隊体育学校)対今永虎雅(東洋大学)
ウェルター級(69キロ級)
岡沢セオン(鹿児島県体育協会)対鈴木康弘(K&Kボクシングクラブ)
ミドル級(75キロ級)
森脇唯人(自衛隊体育学校)対細野恭兵(近畿大学)
ライトヘビー級
鬼倉龍大(茨城県連盟)対梅村錬(拓殖大学)
WBO世界フライ級チャンピオン、田中恒成(畑中)の兄、亮明はキャリアを積み上げるとともに安定感を増している。この田中を筆頭にベテランが目立つ決勝の顔ぶれだ。世界選手権ベスト8の岡沢や2016年の世界ユース選手権チャンピオン、堤らの若い力がどういう戦いを見せるのかにも注目したい。
文◎宮崎正博 写真◎ゲッティ イメージズ
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