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2022-11-18

【しゅりんぷ池田のカード春秋】神性を帯びた55という数字

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王貞治の写真に注目

 今年もさまざまなジャンルのアスリートたちを一堂に集めたカードシリーズ「インフィニティ」が発売されました。今回は将棋、囲碁、麻雀といった“マインドスポーツ”まで対象を広げ、なんだかすごいことになっています。

 最多の26人が収録されているプロ野球では王貞治の写真に驚かされました。小さくて見えにくいと思いますが、王の持つ2本のバットのグリップエンドに「1 54」「1 55」という数字が書かれています。1はもちろん背番号で54、55というのは64年に記録したシーズン最多本塁打記録の数字ではないでしょうか。

No.01 王 貞治
BBMスポーツトレーディングカード INFINITY2022 No.01 王 貞治

 この55本塁打という記録はローズが2001年に、カブレラが02年に並んだものの13年にバレンティンが更新するまでNPB記録であり続けました。以降この55という数字は日本プロ野球にとって特別な数字となり、神性を帯びることになりました。

 93年に松井秀喜が巨人入りした際に、この本塁打記録を塗り替えてほしいという期待を込め背番号55が与えられました。おそらく、それは当時ふさわしい空き番号がなかったことから、苦し紛れに意味づけを行った方便だったと思うのですが、思いのほか、これが成功し、以降、期待の長距離砲に55番が贈られるケースが増えました。

 今季、この王の日本選手記録(なんとも不思議な言い回し)を更新した村上宗隆もそんなフォロワーの1人だったわけですが、今回の記録更新を機に背番号を変更してみてもいいのではないでしょうか。ヤクルトで大杉勝男、広沢克己といった主砲が背負った背番号8が空いたこともありますし。
(週刊ベースボール2022年11月28日号 掲載記事再編)

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