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2022-12-09

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第4回「懸賞、賞金」その4

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平成30年秋場所初日、魁聖は豪栄道を破り、懸賞7本を手にした

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近年、増えているものはな~んだ? と問われたら、2つ挙げたい。
1つ目は社会問題化している高齢者の交通事故。あれは困ったものですね。対応も難しい。
残る1つが幕内の取組に懸かる懸賞だ。勝った力士にご祝儀をつける、というのは大相撲ならではの、もう風物詩と言っていい。令和元年秋場所から力士の取り分が1本6万円にアップした。その総数が毎場所、2000本前後ですよ。ようし、勝って取ってやろう、と力士たちのモチベーションも一段と上がろうというものです。
気になるのはあの懸賞、あるいは賞金の使い道です。令和元年夏場所、たっぷり稼いだ朝乃山に師匠が「部屋にクーラー付けて」と“公開おねだり”していましたが、野暮を承知でその使い道を探ってみました。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

懸賞は体に投資

勝てば天国、負ければ地獄の力士たちも、どこかで収入と支出のバランスを保たなければいけない。
 
平成30(2018)年秋場所初日、西前頭筆頭の魁聖は、いきなり大関豪栄道を右四つ、左上手をがっちり取る、という得意の態勢から何もさせず、寄り切って勝った。快勝だった。懸賞の束を手に戻ってきた魁聖は、

「よかったです。勝てて。(夏)巡業の疲れが出てね。東京に戻ってきてから治療代に20万円使ったっス。お金、ないスから」
 
とホッとした表情を浮かべていた。
 
ちなみに、この日、魁聖が獲得した懸賞は7本。21万円也。20万円使って21万円取り戻す。この金銭バランスの良さに、取り囲んだ報道陣もすっかり感心したのでありました。懸賞はこうやって自分の体に投資することもあるんですね。

月刊『相撲』令和元年7月号掲載

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