アメリカンフットボールのXリーグは、12月17日に「X1エリア」と「X2」の入れ替え戦2試合が、富士通スタジアム川崎で開催された。第1試合の品川CCブルザイズ(X1エリア8位)とブルーサンダース(X2セントラル1位)の1戦は、ブルザイズが勝ってX1エリア残留を決めた。
品川CC ブルザイズ ○17-3● ブルーサンダース(2022年12月17日、富士通スタジアム川崎) 先制したのはブルザイズ。1Q9分に、QB高橋空良からWR羽深新に39ヤードのタッチダウン(TD)パスが決まった。ブルザイズは2QにもRB矢島康希のランTDでリードを14点に広げ、後半へ折り返した。
ブルザイズは、後半オフェンスにミスも目立ったが、ディフェンスがブルーサンダースにTDを許さず、逃げ切った。
来季こそ「取り切る、決め切る」フットボールを スタッツ上はそれほどの差はなかったが、フットボール的にはブルザイズが力の差を見せた。今秋、X2セントラルのリーグ戦6試合で、TD1本しか奪われていなかったブルーサンダースディフェンスから、前半、あっさりと2TDを奪った。
先制のTDパスはエンプティー(RBを置かず、レシーバーを5人置く隊形)から。2本目のTDを奪ったドライブでは、4thダウン1ヤードのギャンブルで、17ヤードのパスを決めた。両プレーともQB高橋のリリースの早さとコントロールの良さが光った。
一方で高橋は不用意なミスも目立つ。この試合で喫した2本のインターセプトは、1stダウン、2ndダウンでのもの。3rd&ロングなどの追い込まれた場面ではなく、まったく焦る必要はなかった。
特に、3Q残り9分に、ゴールまで8ヤードの位置で、エンドゾーン内で許したインターセプトは、投げ捨てればよいだけだった。この場面で得点していれば、ブルザイズは、もっと楽な展開で勝てた。


良いプレーが持続せず、悪いプレーが起きるのがフットボールというスポーツだ。しかしブルザイズは、それが常態化している面がある。
4Q残り5分、ブルーサンダースの4thダウンプレーを潰して得た、相手陣24ヤードからのオフェンス。11点リードしているのだから、ランでしっかり時間を使い前進してフィールドゴールを決める定石の場面だ。
だが、1stダウンはランでゲインなし、2nd,3rdダウンは、TDパスを狙って失敗。時間を使えず、ボールを進められず、41ヤードのFGは失敗してしまう。
この場面は、ランオフェンスの弱さが影響した。ブルザイズは、2本目のTDを決めたドライブではランで28ヤードを奪ったが、それ以外の9回のドライブで、50ヤードも進められなかった。
ブルーサンダースは、X2東日本のリーディングパサーになったQB小田裕太が負傷欠場。控えQB大澤宗一郎も終盤で負傷して引き下がった。そういう事情が無かったらこの試合もどうなっていたのかわからない。

ブルザイズは、今秋のX1エリアのリーグ戦では、1位の電通や2位のパイレーツとの対戦の中で、互角の勝負を演じる局面もあった。決して力が無いわけではなく、本来入れ替え戦に出るようなチームではない。
QB高橋は、3年近くブランクがあったとも聞く。来季はもっと良くなる可能性がある。そして、ランオフェンスの強化、不用意なミスを減らし、「取り切る、決め切る」。それができれば、来季は上位に進出できる可能性もある。今季の8試合の蹉跌を無駄にしないでほしい。
