陸マガの箱根駅伝2023カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では出場20校の注目選手を紹介。国学院大四本柱の一角を担う平林清澄(2年)は、三大駅伝すべてでいずれも区間6位以内の実力を持つ。今年度の全日本大学駅伝7区では他大学のエースたちに力負けしたものの、「4年生だから負けて当たり前」とは言わない。距離が伸びる箱根でのリベンジを誓い、過去最高の3位超えに向け闘志を燃やしている。
学生トップクラスと互角に戦う11月6日の全日本大学駅伝では、7区で区間4位。平林は、箱根駅伝の前哨戦での結果を冷静に受け止めていた。
「今持っている力は出せたと思っています。それでも、自分より速い選手たちがいました。あれだけ差をつけられると、勝ちも遠のきます。まだまだ力不足。4年生だから負けて当たり前とは言いたくないです」
区間1位の駒大・田澤廉とは1分20秒差、2位の青学大・近藤幸太郎とは1分06秒差、3位の創価大・フィリップ・ムルワ(以上4年)とは21秒差。いずれも「花の2区」でのエントリーが予想されるエースたちである。学生トップクラスの手強い相手だと承知した上で、箱根路では互角に戦っていく覚悟を口にしている。
「勝負していきたい。箱根では距離が伸びます。23km(2区は23.1km)になれば、こっちの土俵。僕の持ち味も生きると思います」
本人は明言こそ避けているが、往路の重要区間を希望。エース格としての役割は理解している。「短期間でも成長できる」と自らに言い聞かせ、箱根までに取り組むべき課題を明確にしていた。スピード持久力の向上に加えて、レース運びは改善の余地があるという。たとえ、抜かれることがあっても、ペースを乱されず、淡々とタイムを刻むことを誓う。
「一瞬の判断が大事になります。全日本でも近藤さん(青学大)のペースに少し乗ってしまった。行ける気がしたのですが、予想以上に速かったですね。状況によりますが、自分のリズムを崩してはいけないと思います」
強みは気象条件に左右されない安定した走り
前回大会は9区で区間2位。鶴見中継所から戸塚中継所までのコースは、すでに本番で経験済み。復路だったが、アップダウンの箇所も勝負どころも頭に入っている。この1年間で着実に力をつけてきた自負もある。今年3月の日本学生ハーフマラソンでは初優勝を飾り、10000mでも7月に28分12秒16と自己ベストを更新。夏以降は10000mのレースに出走していないが、27分台を狙えるスピードはあるという。気候条件に左右されず、安定して結果を残せるのも強みの一つ。
「場数は踏んできました。風が吹いても、気温が上がっても、対応できます」
自身2度目の箱根に向けて、自信をのぞかせる。チームは総合3位以内の目標を掲げているが、平林はさらなる高みを目指す。こだわるのは、個人の区間順位ではない。
「個人よりも、チームの成績を重視します。初優勝を果たせば、大きなインパクトを残せますから。出雲、全日本を制した駒澤は確かに強い。でも、勝ちたいんです。全員がしっかり準備すれば、勝負になるはずです」
過去最高の総合3位を超え、新たな歴史を築くつもりだ。
ひらばやし・きよと◎2002年12月4日、福井県生まれ。167.8cm、43.5kg、O型。武生五中→美方高(福井)。1年時から三大駅伝フル出場中で、すべて区間6位以内でまとめる力を持つ。今季の全日本でも、学生トップクラスのエースたちを相手に7区区間4位と安定した走りを見せた。自己ベストは5000m13分55秒30(2021年)、10000m28分12秒16、ハーフ1時間01分50秒(共に22年)。
箱根駅伝 2023完全ガイド(陸上競技マガジン1月号増刊)