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2022-12-20

【箱根駅伝の一番星】最強世代の最上級生に頼らない走りを。創価大の山森龍暁に芽生えた自覚

三大駅伝初出場の全日本でアンカーを任され、5位入賞。笑顔でテープを切った

陸マガの箱根駅伝2023カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では出場20校の注目選手を紹介。2年前の準優勝メンバーを含め、最上級生の顔ぶれは過去最強ともいえる創価大。次期日本人エースの座を狙う山森龍暁(3年)ら実力派の下級生たちがかみあえば、再び箱根路の主役へと返り咲くことも期待できる。

同学年の4人でチームを盛り上げたい

今回は総合優勝を目標にしている創価大。4年生の戦力が充実しており、7名がエントリーされた。そのなかで「来年以降を考えたら、今回は絶対に走らなければいけない」と意欲を燃やす下級生が山森龍暁(3年)だ。

次期日本人エースの座を意識しているという山森だが、1年時は3区、2年時は7区にエントリーされながら当日変更で走ることはなかった。

昨年5月の札幌マラソンフェスティバルで1時間03分33秒を出して、長い距離を走りたいと思うようになった。だが、「今は葛西(潤)さんや嶋津(雄大、共に4年)さんには追いつけないと思っていますが、その差を埋めないと先輩たちがいなくなる来年以降は勝てなくなる。そのための努力を考えていかなければいけません」と話す。

8月の第3次夏合宿では苦しんだが、10月の平成国際大競技会10000mでは、それまでの自己記録を21秒61更新する28分35秒17を出した。さらに全日本大学駅伝で三大駅伝初出場を果たし、最長19・7㎞の8区を走り、フィリップ・ムルワ(4年)から受けた5位をキープする安定感を見せた。ただ、タイムは前年なら4位に相当する59分08秒だったが、ハイレベルな展開のなかで区間11位と悔いが残るものだった。

「もともと僕は前半から積極的にいくタイプですが、全日本は距離を意識して抑えてしまいました。走り終わってから余力が残っていたので、一緒に走り出した順大の四釜さん(峻佑、4年)をもう少し追いかける判断ができていれば、という後悔はありました」

榎木和貴監督も「あそこで積極的に追いかけてくれたら、後半つぶれても箱根に向けた良い実戦経験ができたのですが」と残念がる。だが、それを経験したことで、駅伝の走りに求められるものも分かった。

「全日本では、三本柱といわれる嶋津さんと葛西さん、フィリップさんが優勝した駒澤大と同じくらいのタイムでつないでくれました。それ以外の僕たちがタイムを稼げば、箱根でも勝負できると思います。縁の下の力持ちではないけど、3人に頼らず僕らでも勝負できるように意識していきたい」

そんな山森は1年生のときから1区を走りたいと希望している。現時点では葛西や横山魁哉(4年)のレベルまでいっていないが、次は日本人エースとして1区を狙いたいと言い切る。

「そのためにもトラックの記録は必要です。自分が目標にしている福田悠一さん(第97回大会1区3位)のように5000m13分40秒台、10000m28分10秒台は出し、常に安定した走りができるようになりたいです。ただ、僕ひとりというより、前回の箱根を走った桑田大輔や今年の出雲を走った石井大揮、そして志村健太。同学年のこの4人でチームを盛り上げるようにしていきたい」

今回の3年生のエントリーは山森と桑田のみ。その2人が箱根で走ることが、来年のチーム力にもつながる。 



やまもり・りゅうき◎2001年8月19日、福井県生まれ。174cm・53kg、A型。鯖江中→鯖江高(福井)。高校2年時の三重インターハイで3000mSCに出場。大学1、2年時の箱根駅伝で区間エントリー入りしながら、当日変更により出走はなし。今年度の全日本大学駅伝で三大駅伝初出場を果たし、5位入賞のテープを切った。自己ベストは5000m14分04秒36(2021年)、10000m28分35秒17(22年)、ハーフ1時間03分33秒(21年)。

文/折山淑美 写真/松村真行、JMPA

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