高速連打で世界ランカーに完勝──。17日、東京・後楽園ホールで行われた51.0kg契約8回戦は、元トップアマの桑原拓(24歳=大橋)が、WBC世界ミニマム級13位のジョナサン・レフジョ(26歳=フィリピン)を初回からスピードあふれる攻撃的なアウトボクシングで攻略。ジャッジ三者とも80対71をつけるフルマークで、6戦6勝(4KO)とした。
上写真=7回、バランスを崩したレフジョに、すかさず右アッパーを合わせてダウンを奪った桑原。反応の良さが随所に披露された
ジムの大先輩、井上尚弥が「よく考えて、意識を高く持って練習している」と認めているのが桑原だ。マスボクシングをしているふたりの動きは、実に緻密で高度。「僕にとっては夢のような時間。必死にやっているだけで、終わった後はフワフワした気分になってしまう」と照れるが、向かい合った尚弥だからこそ、桑原の能力の高さを感じるのだろう。
この日も、サウスポーで小柄なレフジョに対し、イン&アウトに突く左ジャブをはじめ、多彩な左でコントロールしながら、相手の入り際に右アッパーカットを合わせ、高速連打で再三再四、レフジョを追い込んだ。
だが、このレフジョ、桑原のスピードに対する反応はよく、なかなかクリーンヒットを奪わせてくれない。「決めにいく瞬間に、的を絞らせてもらえなかった」(桑原)というように、巧みなボクシングを披露した。さらに、桑原の左から右へのつなぎの合間に、左ストレートを合わせることも。
「パンチは強かったけれど、芯は外していた」と桑原。防御を重視したスタイルがしっかりとできあがっており、現に、傷ひとつない顔がそれを物語っていた。
中盤からは距離を徐々に詰めていって、雨あられの連打を降り注ぐ。左ボディブローに加え、右ボディフックも突き刺して、レフジョにダメージを与えた。
そして7回、ボディが効いて、オーソドックスにスイッチしたレフジョがバランスを崩したところへ右アッパー。そのまま前のめりに倒れたレフジョにカウントが数えられた。
「あの展開だったら、7、8回で倒してほしかった」とは大橋秀行会長。本人もここは反省で、「連打の中に、強いパンチを織り交ぜたい」という。スピード重視から、“タメ”を利かせた強烈なブローを打ち込む。テンポ、リズムを変えるさらにハイレベルなボクシングが課題だ。
「相手はミニマムだったので。僕はフライ級がベスト」という桑原。12月2日、井上浩樹がWBOアジアパシフィック王座決定戦に臨む前座に登場予定で、「来年にはなんらかのタイトルを狙わせたい」(大橋会長)という。
文_本間 暁
写真_福地和男
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