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2022-12-26

【箱根駅伝一番星】前回の悔しさ、次こそは「自分が走って貢献したい」 東洋大・柏優吾が最初で最後の箱根路に挑む

腕に書かれた「その1秒をけずりだせ!」のチームスローガン。全日本ではアンカーとしてシード圏内の8位を守った柏

陸マガの箱根駅伝2023カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では出場20校の注目選手を紹介。東洋大の柏優吾(4年)は、昨年度、出雲で駅伝デビューを果たすも、全日本と箱根は応援に回り悔しさを味わった。今年は、8月の北海道マラソンで、現役学生で唯一のMGCの出場権を獲得すると、全日本ではアンカーとして区間7位で走り、シード復権に貢献。着実に結果を残してきた。初となる箱根駅伝では目標の3位以内を目指し、4年生の大きな背中を見せるつもりだ。



マラソンを経験して精神面が成長

 
2023年10月15日に開催が予定されている、パリ五輪日本代表選考競技会のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)。現役学生でただ一人、出場権を獲得しているのが東洋大4年の柏優吾だ。初マラソンとなった8月下旬の北海道マラソンで、2時間11分41秒をマークして日本人トップを取り、脚光を浴びることとなった。

今季、最も成長したのはメンタル面だと自己分析する柏。「これまでは大事な大会の前に緊張してしまい、ここ一番で力を発揮できませんでしたが、マラソン練習と当日のレースを通して、心技体の心の部分を鍛えることができたと思います」と胸を張る。

3年時の昨年度は、10000mで関東インカレや日本インカレに出場するなど実績を重ね、出雲駅伝6区で学生三大駅伝デビューを果たした。しかし、その後は調子が上がらず、全日本大学駅伝と箱根駅伝は不出場。「箱根に向けた練習でふくらはぎを痛めるなど、満身創痍の状態でした。気持ちと走りがつり合わずに、苦しかったです」と振り返る。東洋大が4位に入った前回の箱根では、純粋にチームを応援する思いと同じ舞台に立てなかった悔しさを抱きながら、仲間たちが走る姿を見ていたという。そして、次こそは「自分が走って貢献したい」と決意を新たにした。

 
 

見ている人に感動や勇気を与える走りを

 
今季の三大駅伝は、北海道マラソン後のダメージを考慮し、10月の出雲を回避して11月の全日本から登場することになっていた。9月はマラソンの疲労から脚の状態が良くなかったが、10月に入ってから徐々にスピード練習に対応。予定どおり、全日本の8区に出場し、区間7位と崩れずに走り切った。ただ、前に2チームが見えていたなか、順位を上げることができず、「アンカーとしてみんなに申し訳なかった」と悔しがった。

 

チームとしても出雲9位、全日本8位と、ここまで不完全燃焼の戦いが続いたが、箱根は3位以内を目標に掲げている。柏は「自分が走ることで、応援してくださる方々や見ている方々に感動や勇気を与えたいし、東洋らしい攻めの走り、チームスローガンである1秒をけずりだす走りを体現したい」と意気込み、復路の23km区間での勝負を望む。

 
東洋大の現4年生は、下級生のときから期待されてきた世代であり、12月10日に発表された16人のエントリーメンバーに6人が入った。「このチームで過ごせるのもあとわずか。4年生同士の団結を深めて、練習でも生活面でも後輩たちにしっかりとした背中を見せていきたい」と、柏は仲間との日々を大切に、満を持して最初で最後の箱根駅伝に挑む。

 


かしわ・ゆうご◎2000年4月19日、青森県生まれ。170cm、56kg、A型。宮原中(埼玉)→豊川高(愛知)。中学時代から駅伝で全国を経験し、都大路を経て東洋大に入学。三大駅伝は3年時の出雲が初となったが、今季は初マラソンでMGCの出場権を獲得するなど、長い距離で真価を発揮。全日本ではアンカーとしてシード権獲得となる8位でフィニッシュテープを切った。自己ベストは5000m13分59秒28(2021年)、10000m28分49秒72(20年)、ハーフ1時間02分55秒、マラソン2時間11分41秒(共に22年)。

文/石井安里 写真/川口洋邦、JMPA

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