11月7日(木)、さいたまスーパーアリーナでダブル世界タイトルマッチに臨むWBA・IBF世界バンタム級チャンピオン井上尚弥とWBC世界バンタム級暫定チャンピオン井上拓真が6日、そろって所属する大橋ジムで練習を公開。順調な調整ぶりをアピールした。
上写真=共闘を誓う井上尚弥(右)と拓真
元世界5階級制覇王者で、WBA世界バンタム級スーパー王者ノニト・ドネア(フィリピン)とのWBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)決勝に臨む尚弥は、「2ヵ月前にこうして練習を公開することで、決勝に向けて盛り上がれば。(大勢の報道陣に囲まれても)やりづらさはないです」と言うとおり、相変わらずの集中力の高さを見せた。おざなりになりがちなシャドーボクシングでも、いつもどおり、放つジャブひとつとってもきちんとした意図、テーマを持って臨んでいる。取り組む練習、放つパンチ、防御動作。一つひとつの行動はすべて決して無駄にはしない。中澤奨とのマススパーリングでも、いわゆる“無駄打ち”も無意味に放つわけではなく、きっちりとエサとしてばら撒いて、それに食いつくとカウンター、という動きを何度も試していた。
2日に一般発売された試合のチケットは、「まもなく完売」(大橋秀行会長)という状況で、「平日なのでどうかなと思っていたけれど、注目の高さを実感しています」と、あらためて世間の期待を受け取っているという。
「拓真と一緒に試合をできるということが、いちばんモチベーションを上げてくれる。しかも、同じバンタム級なので」。兄弟とはいえ、同じクラスのチャンピオン同士。尚弥にとっては、拓真にしっかりと勝ってほしい気持ちと同時に、“ライバル”という視線も芽生えているようだ。
WBC正規王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)との王座統一戦を行う拓真は、「やりたいことをできている。サウスポーにも以前より慣れてきた」と手応えを明かす。
かつて対戦したマーク・アンソニー・ヘラルド(フィリピン)、日本バンタム級8位の定常育郎(T&T)らとのスパーリングを消化。同僚のスーパーライト級、保田克也とのマスボクシングを積み重ね、「サウスポーと対したときの位置取り」を常に意識して動き、思い描くかたちが出来つつある。太田光亮トレーナーを相手にしたミット打ちでは、リードブローの駆け引きから右ストレートへつなぐパターンを入念にチェックしていた。
尚弥、拓真とも、来週は恒例の走り込み合宿に向かい、再来週からはふたたびスパーリング三昧で自らをさらに追い込んでいく。
文_本間 暁
写真_山口裕朗
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