アメリカンフットボールの世界最高峰、米・NFLの王座決定戦、第57回スーパーボウルが、現地2月12日午後(日本時間2月13日午前)、アリゾナ州グレンデールのステートファーム・スタジアムで行われ、カンザスシティ・チーフス(AFC)が、競り合いの末に38-35でフィラデルフィア・イーグルス(NFC)を破り、2019年シーズン以来、3年ぶり3回目の王者となった。
MVPにはパスで3TDのチーフスQBパトリック・マホームズが選ばれた。マホームズは2回目の受賞。 23年ぶりにシーズンMVP獲得者として、スーパーボウルに勝利した。また、レギュラーシーズン・パッシングリーダーのQBはスーパーボウルに勝てないというジンクスも破った。(写真はすべてGetty Images)
第57回スーパーボウル(2023年2月12日、ステートファーム・スタジアム)カンザスシティ・チーフス 7 7 7 17 38フィラデルフィア・イーグルス 7 17 3 8 35
最初のオフェンスシリーズから、両チームの持ち味がよく出た。
イーグルスは、QBジェイレンハーツのランやパスを中心に11プレーかけて75ヤードをドライブ、仕上げはハーツのQBスニークで先制のTDを決めた。
チーフスは、QBマホームズからTEトラビス・ケルシーへの20ヤードパス、RBアイザイア・パチェコの24ヤードランで攻め込んだ。そしてマホームズがケルシーに18ヤードのTDパスをヒット。すかさず同点とした。
イーグルスは今季得意としてきた第2Qのオフェンスで畳みかけた。ハーツからエースWRのA.J.ブラウンへ45ヤードのロングパスでTD。
次のドライブで、ハーツがファンブルしたボールをチーフスLBニック・ボルトンにリカバーされてリターンTDを奪われた。
しかし、次のシリーズでは、ハーツが自らのキーププレーを中心に、2度の4thダウンを乗り越えてボールを進め、最後はこの日2本目のTDランで再びリードを奪った。さらに前半最後のドライブでも、ゴール前まで攻め込むと、Kハリソン・バトカーのFG(フィールドゴール)。第2Qに17点を奪い、24-14として後半へ折り返した。

後半は一転して、チーフスのペースとなった。第3Qのオープニングドライブでリズムよく攻め、パチェコのランでTDを返した。
イーグルスは、17プレーで7分45秒もかけてドライブ、FGでリードを6点としたが、チーフスはWRジュジュ・スミスシュースターへの3本のパスなどでゴール前へ攻め込むと、WRケダリアス・トニーが、TDパスをキャッチし、ついに逆転した。
そして次のイーグルスのオフェンスを、この試合2度目の3&アウトでパントに追い込むと、先ほどTDを決めたトニーが、65ヤードのビッグリターン。ゴール前5ヤードまで攻め込んだ。
チーフスは、このチャンスにマホームズがWRスカイ・ムーアにTDパスを決めて、35-27とイーグルスを突き放した。
しかし、イーグルスは、QBハーツが、デボンタ・スミスに45ヤードのロングパスを決めると、ゴール前2ヤードからエンドゾーンにこの日3本目のランTDを決めた。さらに、2ポイントコンバージョンでもハーツがエンドゾーンに飛び込んで、35-35。試合を振り出しに戻した。
試合残り5分余り。チーフスはマホームズの26ヤードスクランブルなどで攻め込み、残り1分54秒、ゴールまで15ヤードの3rd&8。TDを狙ったマホームズのパスは失敗したが、イーグルスディフェンスに痛恨のディフェンスホールディングの反則。
ビデオで見ると、CBジェームズ・ブラッドベリ―の手が、ターゲットだったチーフスWRスミスシュースターの腰にわずかにかかっていた。
この反則が勝敗を大きく左右した。
新たなファーストダウンを得たチーフスは、RBジェリック・マッキノンが、TD目前でスライディング。さらにニールダウンで時間を消費すると、残り11秒でKバトカーが25ヤードのFGを決めて3点を勝ち越した。これが決勝点となった。

チーフスは直近の4シーズンで3回スーパーボウルに出場し、2回の優勝。アンディ・リードHCとマホームズのコンビが、NFLに新たなダイナスティー(王朝)を築き上げつつある。
NFLでは、1999年のカートウォーナー最後に、シーズンのMVPを獲得すると、その選手の所属チームはスーパーボウルに勝てない状態が続いていたが、マホームズはそれを打ち破った。さらに、シーズンMVPとスーパーボウルMVPを同じシーズンに獲得した、史上7人目の選手となった。
また、今季5250ヤードで最多パス獲得ヤードを記録していたマホームズは、NFL史上初めてパッシングリーダーのQBとして、スーパーボウルに勝った。

リアーナがハーフタイムショー、深紅の衣装でパフォーマンス スーパーボウルで、ゲームに劣らず注目を集めるハーフタイムショーには歌手リアーナが登場した。深紅の衣装を身にまとい、「Bitch Better Have My Money」、「Rude Boy」、「Diamonds」、「Umbrella」など13曲を歌い上げた。空中に釣られたボードに乗って登場したリアーナは、腹部が大きく膨らみ、妊娠しているのが分かる状況。ハイヒールなどを履かず、ゆったりとした動きで、時折り笑みを浮かべながら、十数分間にわたってパフォーマンスした。

複数の米メディアによると、ショーの終了後、リアーナの代理人は第2子を妊娠していると発表したという。
NFLは今回から、スーパーボウル・ハーフタイムショーの新たなクレジットスポンサーとして、アップルミュージックを選んだ。イベントの公式名は「アップルミュージック・スーパーボウル・ハーフタイムショー」となった。
リアーナは1988年2月生まれで間もなく35歳となる。カリブ海の島国バルバドスの出身で、16歳で米国に渡って歌手として活動。数々のヒット曲を歌い、2017年までに14曲が全米1位となった。グラミー賞9回受賞。
モデル、女優としても活動しているほか、実業家として自身のファッションブランドを立ち上げて成功させ、「最も裕福な女性アーティスト」として米誌フォーブスが認定。総資産は2000億円を超えるという。