準決勝・決勝で劇的な勝利を収めて3大会ぶりに制したWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の闘いは、日本全国だけでなく世界中のファンに野球の面白さを再確認させただけでなく、日本人各選手のリング内外でのふるまいも大いに話題となった。その興奮、熱狂を引き継ぐ形でNPB(日本プロ野球機構)開幕を2日後に控えた29日、阪神尼崎駅前から伸びる尼崎中央三番街商店街で、恒例の“日本一早いマジック点灯式”がおこなわれた。もともとは商店街活性化を目的に2002年からスタート(正式には「優勝記念セールへの日本一早いマジック点灯式」)。翌2003年、星野仙一政権で早くも優勝を果たし、その2年後にも岡田彰布監督がチームを率いて優勝したことで幸先いいスタートを切ったが、その後は優勝から見放されている。毎年「今年こそは」とイベントを続けてきたが、コロナ禍のため2020年からは点灯式は自粛。以前より規模を縮小したものの、4年ぶりの“恒例行事”復活となった。
地元タイガースファン以上に報道陣が待ち望んでいたようで、寺井利一理事長の元には早くから各マスコミから問い合わせが寄せられ、当日は共同通信、朝日、産経、神戸各新聞社に加え、MBS(毎日放送)、サンテレビといったテレビ局のカメラも取材に訪れていた。
点灯式はタージン(関西ナンバーワンリポーター、ロケの神様との異名をとり、関西のテレビ・ラジオで活躍するタレント)の進行で執り行われ、寺井理事長のほかゲストとして神井花音(VRESS、関西を中心に活動するアイドル)、荒川ユミ(タレント、書道家)に加え、名誉応援団長として空牙が出席した。
寺井理事長、各ゲストが今年の阪神タイガースへの期待を尋ねられると、それぞれが「あれ(優勝)」を連発。その後、久しぶりに試合コスチュームで登場した空牙が「143」のマジックを点灯させ、書道家である荒川ユミさんがしたためた書「アレを掴め」の掛け軸を手にカメラの放列を浴びた。
昨年は開幕前は優勝候補筆頭ともいわれたタイガースだったが、フタを開けてみればセ・リーグ新記録となる開幕9連敗を喫し、17試合を終えて1勝15敗1分の借金14で開幕連敗を除けば史上最低勝率を記録するなど、大きなハンディキャップを背負ってシーズンを闘った。
過去にリーグ優勝を成し遂げた岡田彰布が指揮を執る1年目。豊富な投手陣を軸に守りの野球を推し進めるが、「日本一に輝いたのも吉田義男2度目の監督1年目だった」「日本一から次に優勝したのは18年目だった」「バックスクリーン3連発を放てば優勝確率100%」など、こじつけとも思えるジンクスを振りかざして早くも“あれ”への期待は高まる。
2007年に名誉応援団長に就任した空牙は、まだ点灯式に参加してからの優勝は経験しておらず。「今年こそは“あれ”を。ところで『0』のナンバープレートはあるんでしょうか? ぜひ、この目で確かめたい」と語っていた。
橋爪哲也
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