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2023-04-04

【連載 泣き笑いどすこい劇場】第15回「当てが外れた話」その2

平成4年秋、小結貴花田は14勝1敗で2度目の優勝を果たした。写真は8日目、ライバルの大関曙を投げ捨て仁王立ちになってこのような表情を見せ世間を大いに沸かせた瞬間

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世の中、なかなか自分の思うようにことは運びません。
あなたにもきっと1つや2つ、いや、中には数えきれないぐらい計算が狂い、当てが外れて、悔しい思いをしたことがあったはずです。
まして勝負の世界は思ったようにはいかず、切歯扼腕して当たり前とも言えるでしょう。
それでも、それに懲りず、さらに努力を重ねることが成功の秘訣でもあります。
そんな当てが外れて天を仰ぎ、地団太踏んだ話を集めました。
※月刊『相撲』平成22年11月号から連載された「泣き笑いどすこい劇場」を一部編集。毎週火曜日に公開します。

悔しさが発奮材

受賞するに十分な成績を挙げながら、選考過程で物言いがつき、せっかくの三賞を取り損なった力士もいる。平成の大横綱、と言われる貴乃花もその一人で、平成4(1992)年秋場所、14勝1敗で2度目の優勝をした。このとき、まだ小結、四股名も入門以来の貴花田だった。

三賞選考委員会はその活躍を高く評価して殊勲賞、技能賞、2つの賞の候補に挙げ、まず殊勲賞が文句なしに決まった。しかし、次の技能賞の審議でこの場所、4回も“待った”をしたことが問題になり、

「これから上位を目指していかなくてはいけない力士なのに、これではマズい」

という厳しい意見が大勢を占め、ついに受賞が見送られてしまったのだ。さらに場所後、これを受けて臨時の立ち合い研修会も開かれ、貴乃花は出羽海理事長(元横綱佐田の山、のちの境川理事長)の指名で、廻しを締め、いい立ち合い、きれいな立ち合いのモデルを務めさせられた。大物ゆえのお灸だった。

翌平成5年九州場所では貴ノ浪(当時関脇)も苦い思いをしている。この場所、12勝3敗で優勝した曙、優勝決定戦で負けた武蔵丸に次ぐ好成績を挙げ、敢闘賞の候補に挙がった。しかし、立ち合いに変化したり、守勢に回る相撲が多く、

「まだ若いのに。あれでは敢闘賞のイメージにも合わない」

という意見が選考委員の間から沸き起こり、落選の憂き目にあった。これに発奮した貴ノ浪は、次の平成6年初場所、13勝2敗という前の場所を上回る勝ち星を挙げ、今度は文句なしに敢闘賞を受賞。自力で逃がした賞を取り戻したのだ。そして、場所後、武蔵丸とともに大関に昇進した。

月刊『相撲』平成24年1月号掲載

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