アメリカンフットボールの春季交流戦として開催されたアサヒビールシルバースター対法政大学オレンジの一戦。シルバースターの先発QBは、柴崎哲平だった。早大時代は甲子園ボウルにも2年連続で出場した大学屈指のパサーだったが、試合でQBを務めるのは久しぶりだった。
アサヒビールシルバースター○21vs3●法政大学オレンジ
(2023年4月30日、富士通スタジアム川崎)
柴崎は、オープニングドライブで、プレーアクションからTDパスを決めた。2Qにも、新人の大型WR佐藤優哉にクイックヒットのパスを決めて大きくゲイン、2本目のTDに結びつけた。まだ、レシーバー陣とのタイミングが合わない部分もあり、持ち味であるリードとタッチパスが十分生かされたとは言い難いが、手ごたえのあるゲームとなったようだ。
「日本で三指に入るQB」有馬HCの言葉で現役続行決意
早大卒業後、2シーズンは電通キャタピラーズでプレーしたが、より高いレベルでのフットボールを求めて、2022年春にオービックシーガルズに移籍した。しかし、オービックでは、米国人選手ジェイソン・スミスのQBコンバートにチームがかかりきりとなっていた面もあり、登録上3番手の柴崎にプレー機会は無かった。
「今日が、(電通時代の2021年秋以来)1年半ぶりのフットボールです」と言う。
この春、オービックを退団。現役引退も含めて考えを巡らせていた時に、声をかけてくれたのが、シルバースターの有馬隼人HC(ヘッドコーチ)だった。
「僕をQBとして凄く高く評価してくれて、一緒にやらないかと言ってくれました」。有馬HCは柴崎を「今の日本で三指に入るQB」と言ったという。柴崎は、この言葉で、引退せずに現役続行を決意した。チームに合流して約1カ月だが、違和感はない。学生時代のライバル(明大で1学年下)だった西本晟もいる。
春のパールボウルトーナメントの前には、エースQBのジミー・ロックレイも合流するが、1回戦のノジマ相模原ライズ戦(5月14日、富士通スタジアム川崎)では、当然柴崎の出番も予想される。
「今季、秋はディビジョン3位以上でポストシーズンに進むこと。そうなれば、ライスボウル4強も見えてくる。昨年勝てなかったライズやIBM(ビッグブルー)に勝たなければならない」と言う有馬HC。シルバースターにとってはパールボウル1回戦のノジマ相模原戦はその試金石となる。
同じサウスポーQBだった有馬HCという、よき理解者の下で、柴崎の新たなフットボール人生が始まろうとしている。