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2023-05-16

“幻の金メダリスト”谷津嘉章に敷かれたスター路線! 新日本唯一の海外デビューはニューヨークMSGの檜舞台!!【週刊プロレス】

アントニオ猪木&坂口征二と入団会見をおこなった谷津嘉章

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1980年10月、新日本プロレスに大物が入団した。モスクワ五輪代表となったものの参加ボイコットで“幻の金メダリスト”といわれた谷津嘉章だ。新日本では珍しくエリートコースが敷かれ、これまで100人近くがデビューした新日本にあって現在も唯一である海外デビュー。それもニューヨーク、MSG(マディソン・スクエア・ガーデン)の檜舞台が用意されていた。

谷津嘉章は76年、レスリングフリースタイル90kg級でモントリオール五輪に出場して8位に入賞。80年のモスクワでは重量級で日本人初となる金メダル獲得が期待されていた。しかし、ソ連がアフガニスタンに軍事侵攻したことでアメリカが参加をボイコット。日本も同調して不参加。谷津は4年後のロス五輪まで待てないとプロ転向を決意した。

新日本プロレスにすれば、吉田光雄(のちの長州力)以来となるアマチュアスポーツ界からの大物入団。まだ藤波辰巳(当時)がヘビー級に転向する前とあって、ヘビー級のスター候補として期待された。

入団会見も当時、新日本の外国人が常宿としていた京王プラザホテル。通常、入団会見はシリーズオフにおこなわれるが、シリーズ中にアントニオ猪木と坂口征二が巡業先の福岡・八女市から帰京して立ち会うなど、特別待遇で迎えられた(会見翌日は沖縄・那覇大会)。

入団してしばらくは新日本の巡業に帯同していた谷津だったが、日本でのデビュー前に海外武者修行へ。それもWWFに送り込まれ、新日本にとっては初の海外デビューとなった。

団体に所属していながら海外でデビューしたレスラーといえば、日本プロレス時代の坂口征二、全日本プロレスのジャンボ鶴田、天龍源一郎の名が挙がる。坂口は柔道界とのあつれきをさけるため記者会見を終えたその足で渡米して現地デビュー。鶴田、天龍はプロレスのイロハを学ぶべく、テキサス州アマリロのファンク道場に預けられての初マットだった。

坂口がサンバナディーノ(カリフォルニア州)、鶴田がアマリロ、天龍がヒアフォード(テキサス州)と田舎町でのデビューだったのに対し、谷津に与えられたのは世界の檜舞台、ニューヨークMSGだった(80年12月27日、現地時間)。対戦相手は元WWWF世界ジュニアヘビー級王者のホセ・エストラーダ。

しかも日本から猪木、坂口、藤波が遠征、WWF入りした直後のキラー・カーンがボブ・バックランドの保持するWWFヘビー級王座に挑戦した大会。“御前試合”で緊張する中、のちにワンダー・スープレックスと呼ばれるフロント・スープレックスで白星デビュー戦を飾っている。

実はMSG以前に何試合かこなしており、正確にはデビュー戦ではない。初マットは同年12月16日(同)、ペンシルベニア州アレンタウンでのTVテーピング。この時も対戦相手はエストラーダだった。その後もTVテーピングや地方大会でエストラーダ、バロン・マイケル・シクルナ、アンジェロ・ゴメスを相手に5試合をこなし、引き分けこそあったものの無敗でMSGに登場。WWFの名物リングアナであるハワード・フィンケルからは「デビュー戦」と紹介されている。

そのまま谷津はWWFをサーキット。ジョニー・ロッズ、ザ・ハングマン、リック・マグロー、フランク・サベージ、マヌエル・ソト、フレッド・マルジーノ、ブラック・デーモン、トニー・アルティモア、ロン・ショー、ラリー・シャープ、ブルドッグ・ブラワー、テリー・ガン、ムース・モンロー、ピート・デハーティ、ドン・セラノ、クリス・キャニオンといった中堅・若手を相手にシングルでは負け知らず。そのなかにはキラー・カーンの名も刻まれている(時間切れ引き分け)。

81年6月8日(同)にはMSGで藤波と組んでムーンドッグス(スポット&レックス)の持つWWFタッグ王座に挑戦。2-0のストレート勝ちながら、1本目が反則によるものだったためベルト奪取は逃している。なおこの試合後、リング上で藤波の婚約が伝えられ、2万2000人の大観衆に伽織さんが紹介された。

橋爪哲也

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週刊プロレスNo.2245 (2023年5月31日号/5月17日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

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