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2022-01-11

「今なら何10億という金をかけてやろうとならなかった」アントニオ猪木が語るモハメド・アリ戦の真実<2>【週刊プロレス】

1976年6月18日、外国人記者クラブでの記者会見でにらみ合うアントニオ猪木とモハメド・アリ

 モハメド・アリをリングに上げるまで、さらに来日後もアントニオ猪木陣営との間には大きな温度差があった。なんとか実現にこぎつけたものの、結果は15ラウンド闘っての引き分け。その結果以上に、内容で酷評された。では実際リングで闘ってみて、猪木はどのような印象を抱いたのだろうか。
※週刊プロレス2009年2月18日号(No.1459掲載)
  
 挑戦状を叩きつけてから実現まで、約1年を要した世紀の一戦。アリが来日してからもルール問題で紛糾し、直前になって流れてしまいかねない状況だった。それだけに、どこかで「もういいや」とあきらめを感じたりはしなかったのだろうか。

猪木 あきらめはなかったね。最初はアリの代理人というか、プロモーターが間に入って話が進んでいったわけだけど、その時はみんな若かったし、俺が「アリとやる」って言った時に、どこからもネガティブな意見は出ず、「よし、やろう!」という気になった。倍賞美津子からも「とんでもない」「やめてください」という言葉は出なかったし、テレビ朝日も追いつけ追い越せという成長期にあって協力してくれたし。今なら何10億という金をかけてやろうということにはならなかっただろうけど。成せば成る、思えば叶うというか。まぁ、今から考えれば「なんでできちゃったんだろう?」って思うけど(笑)。先立つものを用意しないといけなくて大変だったけど、そんなこと考えてる余裕はなかったね。ただ走るだけ。土壇場までもめたけど、とにかくアリと闘うことがまず一つ。闘う以上は、ルールがどうであろうと勝たないといけない。そういう中で思い通りの結果じゃなかったのは間違いなかったけど、今になって考えれば、あれはあれでよかったかなと。どっちが勝つにしろ、「世界の猪木」という評価は出なかったんじゃないかな。

 実際、アリはどれほどすごいファイターだったのか。それは闘った者にしかわからない。

猪木 闘っているときは考えてる余裕なんかなかったけど。ああしてこうしてって考えない動物的な感性というか本能。俺も同じタイプなんだけど、作戦を立ててどうこうじゃない。作戦を立てて臨む場合もあるけど闘いというのは時と場合によってどんどん変化していく。それに対応できる感性はズバ抜けてすごいんじゃないかな。作戦ということでは、こちらは蹴っていけばってことだった。それは向こうは予測してなかった闘い方だっただろうし、逆にいえば、アリの方が不安は大きかったのかもしれない。何が出るかわからない。だから(フレッド・)ブラッシーを参謀につけて、プロレスラーという枠の中で作戦を練った部分もあっただろうけど。
(つづく)

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週刊プロレスNo.2161(2022年1月26日号/1月12日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

 今週号の表紙は新日本vsNOAH横浜アリーナ大会のロス・インゴvs金剛の試合後、場外でにらみ合う内藤哲也と拳王です。大注目の対抗戦がおこなわれた横アリ決戦はオカダ&棚橋vs武藤&清宮ほか巻頭カラーから詳報。 新春恒例企画「2022年イチオシ選手」では本誌各団体担当記者が今年のイチオシ選手を紹介。新日本、全日本、NOAH、DDT、ドラゲー、大日本、FREEDOMS、GLEAT、みちのく、2AWの10団体から2022年の注目選手を紹介します。 NOAH1・5後楽園はカード当日発表の大会。GHCナショナル王者・拳王が原田大輔相手に防衛戦をおこなうなど、今年もサプライズでファンを喜ばせました。ジュニアのユニット対抗戦がおこなわれた横浜2大会もリポート。 スターダムは後楽園2連戦で注目カード続出。昨年末に大江戸隊入りした渡辺桃が元パートナーのAZMとシングル。凶器入りシューズの顔面蹴りでKOする衝撃の結末。タッグ王者の朱里&ジュリアはコグマ&葉月に敗れて王座陥落。そのほか新春早々、新展開が動いているスターダムは必見。 後楽園ホールが4月に開館60周年記念大会を自社主催で開催。その理由や経緯について主催側の一人に聞いています。そのほかドラゲー京都&大阪、DDT新宿、大日本・新木場、アイスリボン川口、東京女子・神戸&岡山、仙女・新宿ほか掲載。【主な掲載コンテンツ】・新日本1・8横浜アリーナ・NOAH1・5後楽園&1・6&7横浜・スターダム1・8&9後楽園・DRAGONGATE1・8京都&1・9大阪・芦野祥太郎インタビュー・新春恒例企画「2022イチオシ選手」・ストロング小林さん追悼グラフ・後楽園ホールが60周年記念大会を開催する理由【注意】発送後の返品・返金は原則不可とさせていただきます。送料は無料ですが、第三種郵便での発送となります。また、事前に購入されても発売日にお届けすることは、お約束できません。ご了承ください。

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橋爪哲也

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