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2023-06-03

【陸上】日本選手権展望<男子110mH>標準記録突破者の泉谷、高山が登場。今季世界リスト2位の泉谷は日本記録更新なるか!?

前哨戦のセイコーゴールデングランプリでは、泉谷(中)が優勝、高山(右)と石川(左)が2位、3位と続いた(写真/中野英聡)

6月1~4日、大阪・ヤンマースタジアム長居にて開催中の第107回日本選手権。大会3日目の男子110mHには2人の世界選手権標準記録突破者が登場。代表争いの行方とともに、世界選手権を見据えた記録にも注目だ。

ハイレベルな対決

泉谷駿介(住友電工)の日本記録への挑戦と、泉谷、高山峻野(ゼンリン)、石川周平(富士通)の世界選手権代表入りが焦点だ。

泉谷と高山は世界選手権参加標準記録(13秒28)を突破済み。今大会で3位以内に入れば代表に内定する。転倒がある種目なので楽観はできないが、2人が普通に走れば代表入りは決定的だ。

泉谷はセイコーゴールデングランプリ(5月21日)で13秒07(+0.8)と、2年前に自身が出した13秒06(+1.2)の日本記録に0.01秒と迫った。2021年の13秒06は、当時の力を出し切った結果だった。

「前半も、中盤以降もほぼ完璧というか、結構うまくいったレースでした」

それに対して今年の13秒07は前半を「気持ち、抑えめにいった」という。

「ウォーミングアップで(前レースの)木南記念より動いていたので、前半から突っ込んでしまうとちょっと危ないかなと思いました。今回はハードルに何台かぶつけましたし、前半のもたつき具合だとか、中盤以降のハードル間のさばきだとか、すべてをもう一段階上げればタイムは上がってきます」

日本選手権までに課題を解消できれば、自身の日本記録更新が実現できる。13秒07は今季世界2位。自身3度目、今季2度目の13秒0台を出せば、世界選手権の決勝進出に大きく近づく。

高山は織田記念2位(13秒47・+0.3)、ゴールデングランプリ2位(13秒25・+0.8)と、織田記念は石川に、ゴールデングランプリは泉谷に敗れた。それでも13秒25は、昨年マークした13秒10(+0.6)の自己記録、日本歴代2位に次ぐ自身セカンド記録。標準記録の2度目の突破となった。このレベルを安定して出せば、泉谷以外に負けることはない。

シーズン初戦だった織田記念後に次のように今季の抱負を話していた。

「冬場はいつもと同じですがベースアップができました。あとは感覚的なところでイメージと実際の動きをすり合わせられれば。標準記録を昨年のうちに切っていたので、あとは日本選手権にしっかり合わせて、みんなと競り合って勝てればいいなと思います」

日本選手権での勝利を強調していた。


泉谷と高山は3位以内に入れば、ブダペスト世界選手権代表に即時内定する(写真/黒崎雅久)

標準記録突破に挑む石川

石川は昨年のオレゴン世界選手権で準決勝まで進出した選手。標準記録は突破していないが、雨の織田記念では13秒43(+0.3)で、高山を抑えて優勝した。木南記念は泉谷に敗れて13秒44(-0.3)の2位。ゴールデングランプリは泉谷と高山に敗れて3位だったが、13秒36(+0.8)の自己新と健闘した。

 
泉谷、高山とは異なり後半の強さが武器の選手。冬期からインドアシーズンを経て、屋外シーズンにかけて取り組んできた「ハードリングに結びつくスプリントの動き」(谷川聡コーチ)が功を奏したという。

石川にとって一番のシナリオは、日本選手権の予選(6月3日)、決勝(同4日)で標準記録を突破して3位以内に入ること。その場で代表に内定する。2番目のシナリオは最低でも日本選手権で3位以内に入っておくこと。その後の標準記録突破で内定する。


オレゴン世界選手権セミファイナリストの石川。ゴールデングランプリで自己新と好調(写真/中野英聡)

また石川は2月のアジア室内選手権でも3位と安定した成績を残しているため、Road to Budapest 23リストでは、40人のエントリー枠で18位相当につけている。日本選手権で3位以内に入っておけば、Road to Budapest 23が確定する8月2日以降に代表入りする可能性が高い。

日本選手権は順位得点が高いので、標準記録を突破できなくても1つでも上の順位を取っておきたい試合。後半で追い上げる石川のハードリングも注目すべきレースである。

文/寺田辰朗 写真/黒崎雅久、中野英聡

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