close

2023-07-09

【相撲編集部が選ぶ名古屋場所初日の一番】巨漢・碧山に堂々の圧力勝ち。落合改め伯桜鵬が新入幕場所白星発進

巨漢の碧山にも圧力負けすることなく、新入幕初日を白星で飾った伯桜鵬。幕内でも快進撃は続きそうだ

全ての画像を見る
伯桜鵬(寄り切り)碧山

名古屋場所が始まった。残念なことに新大関の霧馬山改め霧島がこの日、「右肋骨骨挫傷」のため休場。貴景勝も場所前から休場を表明していたため、大関が土俵上から消えてしまうことになったが、豊昇龍、大栄翔、若元春の3関脇に「トリプル大関取り」がかかるなど、見どころは十分だ。
 
注目は幕内上位だけではない。幕内前半のお楽しみは、豪ノ山、湘南乃海、落合改め伯桜鵬の3人の新入幕力士だ。中でも史上最速タイのデビュー3場所で幕内に駆け上がってきた柏桜鵬が今場所も快進撃を続けるのかどうかは見ものだ。
 
新入幕初日の相手は、191センチ、186キロの巨漢・碧山。伯桜鵬がこの相手に圧力負けせずに攻められるかどうかというところは、今後の幕内での土俵を占う試金石と言えた。
 
立ち合い、柏桜鵬は頭を下げて互角の当たり。そのあとの手数では、やはり突き押し相撲の碧山が上回った。相手の動きを見ながら小刻みに突いて出る。この突っ張りで頭が上げられてしまえば、そのあと強烈な叩きが待っているのだが、伯桜鵬は突き起こされることも、腰の備えを崩されることもなかった。相手の突きを跳ね上げたり、下に払ったりしながら、逆にじりじりと前に押していったのは、柏桜鵬のほうだった。最後は苦し紛れに引いてきたところを左を差して寄り切った。

伯桜鵬は「立ち合い一気に持っていくイメージだったのですが」と言いながらも「(立ち合いで)押せなかったので、相手が引くまで待とうと思いました」というあたりの落ち着きはさすがで、その通りに相撲を運んでの快勝。今場所は師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)の新入幕場所の成績である12勝と、高い目標を掲げているが、巨漢の碧山にしっかりと圧力勝ちして見せた初日の相撲内容と、そのコメントに見える落ち着きぶりを見る限り、二ケタ勝利、さらにはその先へと勝ち進む可能性も十分あるように感じられる。この日は豪ノ山、湘南乃海もそろって新入幕初日を白星で飾り、いいスタートを切った。
 
この日は大関に挑む3関脇も、若元春が得意の左四つから元大関の御嶽海を寄り倒し、大栄翔が同じく元大関の正代にまったく組ませることなく押し出し、豊昇龍が翔猿をよく見て攻め、最後はちょっと危なかったが足腰のよさを見せて押し倒しと、それぞれに持ち味を発揮した内容で、一つ上の番付に向け、順調に白星発進した。霧島の休場はファンには残念だが、3関脇にとっては大関への可能性が広がるチャンスでもある。だれがこのチャンスをモノにするか、ますます争いが白熱することにもなろうし、夢のダブル昇進、トリプル昇進の可能性も少し膨らんでくることになる。
 
大関取りトリオに新入幕トリオ。ともにあす以降への楽しみが膨らむ手ごたえ十分の初日だった。今場所はこの2つのトリオが、場所を盛り上げていってくれそうだ。

文=藤本泰祐

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事