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2023-05-25

【相撲編集部が選ぶ夏場所12日目の一番】霧馬山が大関濃厚の10勝目! 朝乃山が2敗目、V争いは照ノ富士単独トップに

貴景勝を圧倒し、気合のこもった表情で二字口へ戻る霧馬山。これで大関はほぼ当確か

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霧馬山(寄り切り)貴景勝

幕内前半戦最後の宇良と翔猿の取組で、両者が土俵狭しと動き回った末、幕内では25年ぶり(平成10年3月場所5日目に旭豊=現立浪親方=が寺尾=現錣山親方=に決めて以来)という珍手「ずぶねり」を決めて盛り上がったこの日。その熱気を保ったまま、土俵は注目の結び4番へとなだれ込んだ。

宇良-翔猿戦では、宇良が幕内では25年ぶりとなる「ずぶねり」を決めた
宇良-翔猿戦では、宇良が幕内では25年ぶりとなる「ずぶねり」を決めた

まず登場したのは1敗で優勝争いのトップに並ぶ朝乃山。関脇大栄翔との顔合わせで、2年ぶりの対三役戦だ。三役と互角の圧力が戻っているか注目されたが、押し負けて廻しに手がかからず。押し出されて2敗目を喫し、優勝争いから一歩後退した。大栄翔はもともと朝乃山にとって合い口の悪い相手なので、この一番のみをもって“まだ三役に対抗できる圧力はない”と断じるわけにはいかないが、あす以降の三役以上との戦いはさてどうなるか。
 
続いて豊昇龍が今場所台風の目となっている北青鵬に対し、モロ差しから相手の脇に頭を入れるようにして上手を切ってさばくうまい相撲で勝ち越し。そしていよいよ、勝てば二ケタ勝利となり、近年大関当確ラインと言われる「直近3場所33勝」に届く霧馬山が土俵に上がった。
 
相手は大関の貴景勝。「勝っても負けても、自分の相撲を。いい相撲を取りたかった。最近立ち合いがよくなってきたんで、当たることを意識した」という霧馬山は、低い立ち合いから、貴景勝に突き起こすことを許さず、右を差して組み止めると、左はハズのようにしてそのまま出て一気に寄り切った。
 
相手は手負いで、カド番脱出へきゅうきゅうとしているとはいえ、大関を一方的に持っていった相撲は文句のつけようがないもの。場所の前半は消極的な相撲が続いてあまりよくなかった印象点も、後半戦に内容がよくなってきたことで盛り返してきた。大関昇進へ向け、数字的な星数の上ではすでに合格、あとはしっかり「昇進ムード」が作れるかで、もしこのあと3連敗でもするようならムードがしぼむ可能性もゼロではないが、このあとも前に出る相撲を心掛けて、1つでも2つでも星を伸ばせば文句なしの大関昇進となるはずだ。

「まだ3日間ある。最後まで頑張るだけ」と霧馬山。調子を上げてきたことで、優勝争いでも存在感は増しつつある。
 
結びでは照ノ富士が若元春を寄り倒して1敗を堅持。若元春得意の左四つを許しながらも勝機を逃さず白星につなげたのはさすが横綱だった。
 
この日を終わって、優勝争いは照ノ富士が1敗で単独トップ、2敗で霧馬山、朝乃山が追う形になった。この3人はまだお互い対戦していないので、あとはこれから直接対決で勝ち残った者の優勝、ということになるだろう(霧馬山-朝乃山戦は、展開次第で組まれない可能性もあるが)。
 
まずあすは朝乃山が照ノ富士に挑戦。廻しを引いて低く食いつき、相手のヒザを伸ばす体勢を作れるかどうかがカギになりそうだ。

文=藤本泰祐

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