昨年まで規定打席に達したことがなかった!?
3連覇へ向けてひた走るオリックス。今シーズンの課題は20〜21年の首位打者で不動の四番を務めていた吉田正尚がメジャーに転出した穴をいかに埋めるかという点でした。これは19年の首位打者&MVP・森友哉がFAで加入したことで補填が可能だろうと思っていたのですが、思わぬ伏兵の出現で、打線はさらに厚みを増すことに。
それが、今季五番・一塁に定着した頓宮裕真です。東都大学リーグで14本塁打を放って、18年秋のドラフトでオリックスから2位指名を受けプロ入り。学生時代は捕手も、プロ1年目の19年は内野手として登録されましたが、本人の強いこだわりもあって2年目から再び、捕手登録に。
2023BBMベースボールカード2ndバージョン No.385 頓宮裕真 昨季は捕手で34試合、一塁手で38試合に出場して初の2ケタ11本塁打を放ち、日本シリーズでは四番も務めました。伏見寅威、若月健矢、頓宮が正捕手を争っていたところに森が加入。伏見はFAで日本ハムに転じたものの、相変わらず頓宮は三番手にも関わらず捕手続行を宣言。
しかし、23年は、ほぼ一塁専念で、5月に入って打率を3割に乗せ、6月に規定打席に到達して首位打者に浮上。今季のパ・リーグの打撃ベスト10は3割打者が頓宮と柳田悠岐、近藤健介の3人のみという異常事態。そんな頓宮も7月末には打率が.307まで降下。これは76年の吉岡悟(太平洋)の.309を更新する、2リーグ制以降のパ・リーグの最低打率の首位打者になるのかと心配したのですが、8月に入って打棒が復活し、打率も急上昇しています。
昨年まで規定打席に達したことがなかった伏兵のタイトル獲得となるでしょうか。
(週刊ベースボール2023年9月4日号 掲載記事再編)