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2023-10-27

【天龍プロジェクト】全日本の田村男児はなぜ「龍魂杯」に出場するのか。「全日本にいないタイプの中で一直線にいってこそ意味がある」【週刊プロレス】

「龍魂杯」に出場する全日本プロレスの田村男児

天龍プロジェクトのシングル・トーナメント「第3回龍魂杯」が11・6新木場より開幕する。現UNタッグ王者として(パートナーは諏訪魔)2年ぶり2度目の龍魂杯エントリーを果たした全日本プロレスの田村男児(だん)。香取貴大と並び参加16選手中もっとも若いながらホームリングでは佐藤光留とアジアタッグのベルトも経験している。レスリング出身者であるにもかかわらずテクニックを自身のカラーにすることなく、直線的なファイトにこだわる理由を聞いてみた。

◇    ◇   ◇

――全日本所属ながら、UNタッグ王者として天龍プロジェクトに継続参戦を続けている。

田村 全日本プロレスではできない選手たちともやれるというのが単純に楽しいですよね。

――普段は絡まない選手と闘うのが楽しいと?

田村 はい。ワクワクします。そういう時、マイナスには考えません。矢野(啓太)さんとか、全日本にはいないタイプなのでやってみたいと思うし。

――現在、諏訪魔選手とのタッグでUNタッグ王座を保持しています。

田村 天龍さんと阿修羅・原さんの“阿呍”というものがこのベルトには込められているんで、そこはほかのタイトルにはない重みだと思います。もちろんお二人のことをリアルタイムで見ている世代ではないので、あとあと知ったことを自分がベルトを巻くことによって実感できている形ですね。

――IJがジュニアのタイトルであるのに対し、UNタッグはヘビー級のタイトルです。男児選手は全日本でもヘビー級の中でやっていますが、体重としてはジュニアなんですよね。

田村 ジュニアです。でも、全日本の場合は大きな選手がたくさんいるのでヘビーとやるのが当たり前ですから、それで慣れているんだと思います。もちろんパワー負けをしてしまうところはありますけど、気持ちで負けないようにしているんで。

――UNタッグ2度目の防衛戦では、自力で斉藤ブラザーズのレイ選手から勝利をあげました。

田村 あの2人はヘビー級の中でもスーパーヘビーですから。その相手から勝利をあげることができて自信になりました。あと、今までは(佐藤)光留さんと組んでいるというイメージで皆さんも見ていたと思うんですけど、諏訪魔さんと組んでベルトを取れたのもとても嬉しかった。

――そんななか、現UNタッグ王者として2年ぶりの「龍魂杯」出場となります。

田村 前回は、代打で出ることになったんで(※当初エントリーされていた塚本竜馬が欠場となり直前で出場)トーナメントの意義のようなものもわからないまま急いで来て、LEONAさんに負けてアッという間に終わった印象です。今回はまったく違う臨み方ができるし、UNタッグ王者でもありますし。ただ、チャンピオンでありながら僕はチャレンジャーのつもりです。1回戦の相手が(IJ2冠王の)進選手。王者対決になるけど、どっちがチャレンジャーかといったら僕になるのはわかっているので。さっき、矢野さんは全日本にいないタイプって言いましたけど、それを言ったら天龍プロジェクトの皆さんはほとんどがいないタイプになります。進さんもスピードとテクニカルな部分を持ち合わせていて、独特ですよね。

――そういう進選手とどのように闘う?

田村 個性の塊のような人たちなのでより慎重にならざるを得ないし、今の段階では「どうしよう?」っていう感じです。ただ、慎重になると言いましたけど、自分本来の力でねじ伏せるやり方は変えるつもりないです。僕は不器用というか、テクニカルなことはあまりやらないので1回戦からそういう気持ちで臨みます。

――田村選手は学生時代にレスリングを経験。その下地があり、やろうと思えばそのテクニックが個性になり得るのに、そういう方向で進んでいないのは意図的なものなんでしょうか?

田村 僕は真っすぐにいった方が気持ちいいって思う性格で。それが出ちゃっている感じですね。もちろんやろうと思えばできるんでしょうけど、テクニカルな動きは自分に合わない気がして。

――進選手もレスリングのベースがあります。そこで上回りたいという欲は出てこないものですか?

田村 いざやってみたら出るかもしれませんけど、最終的にはやっぱり真っすぐぶつかって勝ちたいってなるんだと思います。僕はもともと小橋建太さんが好きだったんで、その影響もあるのかなと。進さんもそうですし、そのあとに矢野さんとアラケンさんのどちらが勝ち上がってきても、そこでも真っすぐいって、それで攻略できたとしたら…。

――大きな意義のある勝利になります。

田村 もちろんそういうタイプの相手はやりづらいですけど、自分と違うリズムの中でやっていくとそれが楽しく感じられるようになるんです。トーナメントには出場されないですけど、鈴木秀樹さんもそういうタイプで楽しかった。その意味では、パロマさんともやってみたいし。

――まったくリズムも間合いもスタイルも違います。

田村 それを経験することが、ここリングに上がる意味だと思うんです。そこには必ず刺激があるわけですから。そういう相手と一日3試合やって勝たなければ決勝にいけないというのもチャレンジですよね。今までタッグではありましたけど、シングルで3試合は経験していないので。ただ、相手さえわからない段階で考えたところでどうにもならないですから、なった時に対応するしかないこと。過酷なのは確かですね。でも、こういう日程を組んだのもプロレスラーだったらできるだろうという考えからだと思っています。

――決勝戦で対戦したい選手はいますか。

田村 これほどのメンバーで誰が上がってくるかなんてわかるはずがないんですけど…後楽園は天龍さんが見に来られるんで、天龍さんに見てほしい相手という意味で光留さんになります。ミスター天龍プロジェクトから勝てば、それを名乗る権利を得ることになりますよね。

――光留選手からミスター天龍プロジェクトの称号を奪うと。「龍魂杯」以降の闘いに関しても頭にありますか?

田村 このリングだから可能性があるという意味では、前に出場したことがある石井智宏さんと対戦してみたいです。

――まさに直線ファイターの代表的存在!

田村 以前、高岩(竜一)さんと対戦した時も、そういう直線型ファイターとぶつかり合うことがすごく楽しかったんです。そういう意味で、石井さんとの試合はずっと思っていることです。

――男児選手は体のサイズとしては特別大きいタイプではないにもかかわらず、そういうプロレスを目指しています。そこに付随してくる負担も大きいはずです。
田村 とてつもなく大きいです。それでもそういうプロレスが、見ていて気持ちいい。

――いや、見る側はもちろん気持ちいいですけど、やる側は大変なわけで。

田村 うーん、そういうのに惹かれるんですよね。真っすぐが好きだとしか言いようがない。

――そのスタイルこそ、まさに源流をたどると天龍さんにいき着きます。

田村 いろんなカラーの選手が集まる中で、天龍さんのような一直線にいくタイプが一人ぐらいいてもいいですよね。トーナメントは最初から最後まで、それでいきます。(聞き手・鈴木健.txt)
「第3回龍魂杯」トーナメント表

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