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2023-12-01

【しゅりんぷ池田のカード春秋】あの伝説のOBの直筆サインカードを封入

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プロ初本塁打が満塁本塁打!

 今季の公式戦で何かしらの記録を作った現役選手と同種の記録を持つOBを合わせてカード化して、その年のプロ野球を振り返る恒例のシリーズ「FUSION」が今季も発売となりました。その中で今年6月に逝去された杉下茂さんの直筆サインカードが封入されているということで話題となっています。ご遺族の許諾を得て、生前に書いていただいていたサインシールを使用して実現したそうです。

BBMベースボールカードFUSION2023 直筆サインカード 杉下 茂(中)
BBMベースボールカードFUSION2023 直筆サインカード 杉下 茂(中)

 では今回、杉下さんが何の記録でカード化されたのかというと、「プロ初本塁打が満塁本塁打」というものでした。今年5月14日に中日のルーキーの村松開人がプロ初本塁打を満塁弾でマークしたのですが、球団の日本人選手のそれは杉下、根尾昂に次いで3例目だったのだとか。

 杉下さんのグランドスラム弾が記録されたのは1950年4月21日の西日本戦のことで、球場は佐賀県の祐徳稲荷神社が境内に建設した祐徳国際グラウンドだったそうです(現存せず)。いかにも狭そうですが、中日はこの日4本塁打を集中させて12対1と圧勝、杉下さんは投げても4安打を喫したのみで悠々完投を果たします。さらに、被弾した投手が野本喜一郎だったというのにも驚かされます。オールドファンならご存じでしょうが、埼玉・上尾高の監督を長く務め、最晩年には浦和学院高の指揮も執った高校野球の名伯楽でした。

 ちなみに、同年はセ・パ2リーグが分立した年で、杉下さんの放った満塁弾はセ・リーグの投手が記録した最初の満塁本塁打だったそうです。1つの記録で、こうした昔のプロ野球の歴史が掘り起こされるのも面白いところですね。

(週刊ベースボール2023年12月11日号 掲載記事再編)

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