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2023-12-15

【箱根駅伝の一番星】中央学大・飯塚達也「エースを輝かせるのもキャプテンの仕事」5年ぶりのシード権獲得へ挑む

飯塚は今年の箱根予選会ではチーム5番手でフィニッシュした(写真/菅原淳)

陸マガの箱根駅伝2024カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では、出場23校の注目選手を紹介。積み重ねてきた努力は、飯塚達也(4年)を「プロ野球選手のような存在」だった箱根ランナーに一歩一歩近づける土台となった。来たる2024年1月。粘り強い走りでキャプテンとしても力を示す。

地道な努力で中央学院大に進学

兵庫県の東播磨高時代は、箱根駅伝ははるか遠い世界の大会だった。正月の大舞台が近づくなか、中央学院大の主将を務める飯塚達也はしみじみと話す。
「僕にとって、箱根ランナーはプロ野球選手のような存在でした。高校に入ったばかりの頃は、まさか自分が出るなんて、考えたこともなかったですから」
当初は関東の大学で陸上を続ける未来など想像したこともなかった。一般受験で関西の大学に進学し、サークルで走ることも考えていたという。ただ、地道にコツコツと努力だけは続けてきた。競技に向き合う姿勢は真面目そのもの。練習は嘘をつかない。全国大会の舞台に縁はなかったものの、少しずつ力をつけて、当時、箱根駅伝のシード常連校だった中央学院大の目に留まった。

高校時代の5000m自己ベストは14分35秒62。鳴り物入りで入学したわけではないが、大学でも緩やかな成長曲線を描きながら、タイムを伸ばしてきた。今年7月には5000mで14分03秒59、10000mで28分45秒15と自己ベストを更新。第100回箱根駅伝の予選会ではチーム5番手で走り、2年ぶりの出場にしっかり貢献した。

どの区間でもチームの目標達成に貢献する

最上級生として、キャプテンの役割も果たしている。チームのまとめ役を担うようになってからは、すべての責任を背負い込むつもりで取り組んできた。
「エースの吉田礼志、主力の伊藤秀虎に気持ちよく走ってもらうことがチームのためになると思っています。礼志頼みにならないようなチームづくりを心がけてきましたが、もう純粋にすごいなって思うんです。彼を輝かせるのもキャプテンの仕事かなと。極端なことを言えば、自分は選手として潰れてもいいくらいの覚悟を持って臨んできました」
自己犠牲心は誰よりも強い。強い口調で注意はできないが、率先して雑用をこなす。人一倍故障には気をつけ、継続して練習を積む重要性も背中で示してきた。昨年度は主力がケガに悩まされ、チームとして力を発揮できなかった反省を踏まえた上での行動である。

ここまで陰ながら仲間のために尽力してきたが、最後の箱根路では脚でもキャプテンらしい働きを見せるつもりだ。目指すのは、5年ぶりとなるシード権の獲得。
「区間は本当にどこでもいいので、自分の力を最大限に発揮し、チームの目標達成に貢献したいです。絶対に取るんだという気持ちで臨みます」

中央学院大のカラーは、しぶといフラッシュイエロー。100回大会では、主将自らが伝統の粘り強さを示す。

 自身初の箱根路へ向け、キャプテンとしても後輩に背中を示しながら、粘りの走りでシード権を目指す(写真/長岡洋幸)
自身初の箱根路へ向け、キャプテンとしても後輩に背中を示しながら、粘りの走りでシード権を目指す(写真/長岡洋幸)
 

PROFILE
いいづか・たつや◎2001年11月21日、兵庫県生まれ。大久保中→東播磨高(兵庫)。今年の箱根予選会ではチーム5番手の76位で1時間03分42秒。自己ベストは5000m13分03秒59、10000m28分45秒15(共に大4)、ハーフ1時間03分07秒(大3)。

文/杉園昌之 写真/菅原淳、長岡洋幸

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