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2023-12-15

【箱根駅伝の一番星】國學院大・山本歩夢「攻めの走りでチームに勢いを」

11月の全日本大学駅伝は2区11位の悔しい結果に。この借りは箱根で返す(写真/中野英聡)

陸マガの箱根駅伝2024カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」が今年もスタート。出場23校の注目選手を紹介する。國學院大の主力、山本歩夢(3年)は今季、出雲と全日本の両駅伝で実力を発揮できなかった。それだけに、箱根駅伝への思いはことさら強く、自らを奮い立たせている。

箱根には万全の状態で

主将の伊地知賢造(4年)、エースの平林清澄(3年)、そしてもう一人。3本柱の一角が気になる。今季、出雲駅伝は4区で区間6位、全日本大学駅伝では2区で区間11位。結果だけを見れば、国学院大の山本歩夢(3年)は、本来の力を発揮しているとは言い難い。ただ、前田康弘監督は何も心配していなかった。

「出雲、全日本は故障明けで練習不足だっただけ。箱根駅伝までには練習をしっかり積めるので問題ありません。箱根駅伝ではやってくれますよ。信頼していますから」

重要なキーマンの一人であることをあらためて強調した。伊勢路から戻った山本は3年目の箱根路に照準を合わせ、練習からすこぶる元気。疲労骨折した左脚の痛みもなく、心を落ち着けて準備を進めているという。

「1月2日は万全の状態で臨めると思います。すごく良い流れできているので。前田監督からは『箱根で絶対に取り返そうな』と言ってもらいましたし、期待に応えたいです」

持ち前のスピードを生かした走力は申し分ない。今夏は5000mで13分34秒85、10000mで28分16秒92と自己ベストを更新。ハーフマラソンでは日本人学生歴代4位タイとなる1時間00分43秒というタイムを持ち、長い距離にも強い。何より箱根での実績が、すべてを証明している。2年連続で3区を走り、いずれも区間5位と好走。100回大会はさらなら飛躍を誓う。

「3区で区間賞を目指します。攻めの走りでチームに勢いをつけたいです」

特別な絆

全日本の7区で初の区間賞を獲得した平林の快走は大きな刺激になった。入学時から切磋琢磨してきたライバルであり、盟友。「自分もやらないといけない」と自らに言い聞かせていると、その平林から声を掛けられた。

「あのとき、歩夢が自分を信じてくれたように、オレも歩夢のことを信じているから」

ちょうど1年前だった。第99回の箱根駅伝を3日後に控え、トラブルが発生。平林が急に調子を落としたのだ。チームにピリピリした空気が漂うなか、監督室には不安の見える本人を除く、主力メンバーだけが呼び出された。

「前田監督から『本当に平林を2区で使っていいか』と聞かれたので、僕は最初に言いました。『平林しかいないので、絶対に2区で使ってください』って。平林はその言葉を前田監督に後から聞き、泣いていたようですね。だから、今回は僕にそう言ってくれたんだと思います」

特別な同期との絆は強い。2人が目指す場所は一つのみ。シーズン前に掲げたチーム目標は表彰台だったが、今はスローガンに掲げた『てっぺん』だけを見ている。出雲駅伝は4位、全日本大学駅伝は3位。箱根では悲願の初制覇を本気で目指す。

「絶対、箱根ではやってやるぞ、と思っています」

信頼される男への期待は、高まるばかりだ。

山本は国学院大の元気印。3本柱の一人としてチームを「てっぺん」へと導く(写真/馬場高志)
山本は國學院大の元気印。3本柱の一人としてチームを「てっぺん」へと導く(写真/馬場高志)

PROFILE
やまもと・あゆむ◎2002年6月24日・福岡県生まれ。169cm・53kg、B型。新津中→自由ケ丘高(共に福岡)。箱根駅伝は2年連続3区5位で走り、前回は2人抜き、前々回は6人抜きでチームに貢献。自己ベストは5000m13分34秒85、10000m28分16秒92(共に大3)、ハーフ1時間00分43秒(大1)。

文/杉園昌之 写真/中野英聡、馬場高志

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