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2024-01-17

【相撲編集部が選ぶ初場所4日目の一番】翠富士、十八番の肩透かし! 綱取り大関の霧島、4日目に土

翠富士十八番の肩透かしに転がされ、霧島は4日目にして土。相撲内容は悪くはないが、これが精神面であす以降にどう影響するか

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翠富士(肩透かし)霧島

きのうまでは、まるで死角はないかに思われた綱取り大関の霧島に土がついた(どうも今場所は、照ノ富士を持ち上げたら翌日敗れ、霧島を持ち上げたら翌日敗れでイヤになってしまうが……)。
 
倒したのは翠富士。十八番の肩透かしが決まった。
 
この両者の対戦は、これまで霧島の4勝2敗。しかし直近の対戦の昨年名古屋場所では両廻しをつかんで食いついた翠富士が勝っており、霧島にとって楽な相手とは言えない。この日負けての後付けということになってはしまうが、霧島の持ち味である低さが生かしづらい数少ない相手なので、たとえ前日まで好調であっても、ある程度相撲を変えて臨まねばならず、変調のきっかけを招く可能性のある相手ではあったのかもしれない。
 
立ち合い、霧島はよく見て突く作戦に出た。しかし翠富士を突き起こしてしまうには至らず、間にできた距離を利用してサッと中に潜ったのは翠富士のほうだった。右を差して左はハズ。霧島は左から翠富士の差し手を極めようとするが、「固められないように、ちょこちょこ動いて隙間をあけてという感じでした」という翠富士は、頭をつけにいったり、左ハズで押したり、肩透かしを引いたり、右から掬ったり、左を巻き替えにいったりと、多彩な動きで相手に捕まえることを許さない。翠富士はこの、「ちょこちょこ動いて間隔をあけて」が抜群にうまいのだ。
 
そして間隔があき、右から掬って少し霧島の重心が崩れたところで、「狙ってはいましたけど、まあ流れでああなりました」という、十八番の肩透かし。綱取り大関をきれいに転がした。

鮮やかな技のキレを見せた翠富士だが、「親方には…“とりあえず当たれ”と怒られているので、とりあえず当たって」という立ち合いが、いい流れを作ったようだ。「ずっと三役には入りたいと思っているので、ここからしっかりやっていきたい」。今場所初白星だが、上位戦はほとんど終えているだけに(残る関脇以上は大栄翔戦のみ)、この1勝を浮上へのきっかけとしたいところだ。

さて霧島。「突っ張ってつかまえようと思ったんですけど、中に入られましたね。肩透かしがあることは警戒していたのに食ってしまった」と、見事にしてやられたかっこうで、綱取りへ向け、痛い1敗となった。

ただ、相撲内容はそう悪いものではないので、まだまだあす以降への期待は十分持てるはず。本人も「またあしたから頑張ればいい」と話しているとおり、星勘定をせずに切り替えて臨んでさえいければ、再び白星を重ねていける可能性は十分ある。「初日から3連勝はあるけど、なかなか4連勝ができない」という霧島は、最近の場所の星の並びを見ても、どちらかというと追い込み型のスロースターター。今までの経験値を、この大事な場所でこそ生かしたいところだ。

とはいえ、本命の霧島が1敗を喫し、追う立場に回ったことで、優勝争いのほうは俄然もつれてきた。4日目を終え、全勝は豊昇龍、琴ノ若、朝乃山の3人。照ノ富士、霧島以下、新入幕の大の里を含め14人の1敗力士が追う展開だ。まずは、連日の逆転勝ちで勝利への執念を見せる豊昇龍と安定感抜群の琴ノ若の、全勝の役力士2人がどこまで白星街道を走っていけるかが次の焦点だがどうなるか。さあ、面白くなってきた。

文=藤本泰祐

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