昨春に誕生したアンダーアーマーの初めてのカーボンプレート搭載モデル「UAフロー ベロシティ エリート」がアップデートし、2代目となる「UAベロシティ エリート2」が発売になった。初代モデルからの変更点を中心に、その特徴を紹介していこう。
アスリートからの「もっと反発力のあるシューズが欲しい」という声を受けて改良に着手し、完成したのがUAベロシティ エリート2だ。選手が希望した通りの、反発力が劇的に向上した1足に仕上がった。
反発力向上のために、大きく改善した点は2つある。
1つ目は、反発性に優れたミッドソール素材を増量したこと。特に、蹴りだし部分である前足部に増やし、ソール厚は前作モデルよりも20%以上も増量させている。これだけソールが厚くなると、着地時の安定性に不安が出てくるものだが、それをカバーする方法として、ソール幅を拡大。シンプルな方法ながら、安定性と反発力という相反する要素を実現させている。
2つ目は、カーボンプレートの配置を改善したこと。フルレングスのプレートを前傾に配置し、前への推進力を生み出す構造に変えた。カーボンプレートは反発力に優れた2種類のソールに挟み込まれた構造になっているため、前傾に配置されたカーボンプレートと厚みを増したソールが掛け合わされて、着地のたびに前へと脚を運んでくれる。
さらに着地時の沈み込みを防ぐためにドロップは8mmから2mmへ、ソールの増量で必然的に増加した重量をカバーするためにアッパーを軽量化するという細部の改良を加え、全体のバランスをとった。
弾むような反発力は、誰でも享受できるはずだ。アンダーアーマー史上最大の反発力を、ぜひ体験を。
A.アッパーの軽量化
B.フォームを大幅に増量
C.カーボンプレートの配置を前傾に改善
D.ドロップは2mmへ
E.ソール幅を拡大
Impression of UA Velociti Elite 2今季の駅伝・マラソンシーズンで、UAベロシティ エリート2を履いて走った2選手が、 その履き心地について語ってくれた。
浜野光選手[中央大学]
2003年、埼玉県出身。本庄第一高校→中央大学 (現在、2年生)。今季は、富士山駅伝に出場(6区、区間6位)。
「理想の腰高のフォームに“はまる”感覚がある」 高校2年生からカーボンプレートシューズを履いていますが、どれもしっくりこないと感じていました。ですが、エリート2を履いたときは「、おおっ」といういい感触がありました。足にフィットし、走ったときに自分のフォームに“はまる”感覚がありました。自分の強みは軸のある走りだと感じていて、きついときにどれだけ腰を落とさずに走れるかを意識しています。エリート2は腰高で走ったときに“はまる”感覚があり、そのフォームを維持できるという印象もあります。
シューズ選びでは、反発性と安定性のバランスを重視しています。反発性はもちろん欲しいのですが、ソールが硬過ぎても走りづらいし、柔らかくてもグラグラして安定感がなくなるからです。エリート2のソールはバランスがちょうど良く、反発がありながら安定感もあるおかげで腰が落ちにくくて、理想の走りに近いのかなと思っています。昨年12月の富士山女子駅伝では、エリート2を履いて走りました。大学に入って初めて全国の舞台での1桁順位でしたし、苦しいときでもフォームが崩れずに走れた感覚がありました。
金森寛人選手[小森コーポレーション]
1994年、新潟県出身。関根学園高校→拓殖大学。マラソンを主戦場とし、自己ベストは2時間10分16秒。
「このシューズなら、自己ベストを更新できる」 レースを想定した距離走や、400mや1kmのインターバル走で履いています。高い反発力のおかげで、重心移動だけでスムーズにスピードを出せるので、練習後の脚の疲労感が小さいですね。ダメージが翌日に残らないので、いい練習が継続でき、トレーニングの効率が良くなっていると感じます。
初代モデルは、正直なところ反発力が弱いと感じていましたが、エリート2は地面に足を置いただけで大きな反発が返ってくるので、スピードを楽に出せる感覚になりました。反発が最も返ってくる接地スポットが明確に分かり、いい姿勢で体の真下でそのスポットに接地すると、大きな反発を得られます。エリート2の反発力は、初代モデルの3倍と言っても過言ではないくらいで、全く別のシューズに進化したと思います。
ソールの硬さも好きです。他のカーボンプレート搭載シューズはソールが柔らかくて、着地したときに少し沈み込む感覚がありますが、エリート2は沈み込みが少ない分、ソールの反発の返りがとても速く、ポンポンポンとリズム良く走れます。ドロップが2mmと小さいので、スピードを上げたいときには、ストライド走法ならストライドを伸ばすことを、ピッチ走法なら脚を速く回すことを意識しやすく、どちらの走法にも合うシューズだと思います。
マラソンでシューズの性能を最後まで生かすには、前傾姿勢が重要だと考えています。前傾姿勢が保てなくなると、反発が返ってくるスポットで接地できなくなるからです。その点、エリート2はスポットが明確に分かるため、そこで接地し続けるようにフォームを矯正することで、最後まで失速せずに走れるのではないかと思います。前傾姿勢を保つためには、腹筋を鍛えることがお勧めですね。
エリート2で、来季はマラソンを走る予定です。このシューズなら、自己ベストを更新できる予感がしています。
日々のトレーニングにはクッショニングモデルのインフィニットシリーズをUA インフィニット エリート(税込価格:¥18,700)UA インフィニット プロ(税込価格:¥15,400)軽くて柔らかい新素材のフォーム「UAホバープラス」を搭載した、インフィニットシリーズが新発売になった。ラインアップは2足。「エリート」は反発性としなやかな履き心地を両立させた弾む感 覚を得られるモデルに対して、「プロ」は安定性とクッション性を重視したシューズになっている。
「UAベロシティ エリート2」の詳細はこちら