個人戦最終日。女子78kg超級では素根輝が、強豪のオルティスを破って初出場初優勝。同階級の朝比奈沙羅は敗者復活戦から勝ち上がり、銅メダルを手にした。また、男子100kg超級では原沢久喜が決勝でクルパレクに惜敗。準優勝となった。
※写真上=金メダルを獲得し、インタビューに答える素根輝。大舞台で着実な進化を証明するとともに、東京五輪につながる大きな成果を得た
写真◎近代柔道
今日の原沢は1回戦から強豪選手との対戦の連続でしたので、まずは予選ラウンドの3試合をしっかり勝ちきったうえで次につなげていく、ということを話して送り出しました。決勝ラウンドでのヤマ場は準決勝だったと思います。この試合前には、引かずに競り合うこと、我慢比べで絶対に負けないこと、投げにいくということを伝えていました。
決勝は惜しい敗戦だったと思います。原沢の方が先に息が上がっていましたが、本当は逆の形でなければいけなかったと思いますし、相手の息を上げたうえで攻めていく、という展開として持っていきたいところではありました。そのような展開にできずに敗れたことは非常に残念に思っています。
理由については本人と話してみなければわかりませんが、準決勝の疲労と、休憩があったとはいえ、予選ラウンドもギリギリの試合の連続でしたので、そういうことも関係しているのかなと思います。ただ技術面でも、もっと工夫して戦っていければ、あのような展開にならなかったと思います。
現在の重量級はスピーディーな柔道が主流になっていますので、速い組み手と速い技出しは必須事項。そのなかでも競り合うというところを選手たちには話をしている面があるのですが、ある程度対策してきたことが出せた部分と、課題が残った部分、それぞれあったと思っています。
今日で個人戦が終わりました。73kg級までの前半戦では勝ちきれるところで勝ちきり、金メダルを2つ獲ることができました。81kg級以上については、銀2、銅1という結果で、金メダルを一つも獲ることができず、課題が残ったといえます。日本開催ということで、多くの方々が応援に来てくださっている中で試合ができたことは、来年に向けて良い経験となったと思います。
しかし来年はより一層プレッシャーがかかる中で試合をしなければなりませんから、平常心を保っていくために相応の準備をしていかなければならないと思います。技術や体力といった細かいところの課題と、選手個々の課題はそれぞれありますので、ここでは控えさせていただきます。
素根は一昨年、昨年と個人戦代表を逃し、その悔しさが今日の結果につながったと思います。最大のライバルであるオルティスに(ワールドマスターズから)2連勝したのも大きい。今日は決して絶好調ではなかったし、技の入りが不十分なときもありましたが、その中でも勝負に徹する戦いをしっかりやってくれました。
オルティスを投げるのは、なかなか難しい。それでも積極的に仕掛けていけました。それが勝因です。相手の誘いに乗らないなど、過去の同じ失敗をしないところにも成長を感じました。今の素根は、攻める姿勢や技出しはいいので、今後はしっかり投げ切ることが大事になります。もう少しフットワークを使いながら、得意な形を作れるようになってほしいですね。
朝比奈はサイットの術中にはまって、頭を下げられてしまった。2回戦で裏投げに遭ったときに右足を少し捻って、その影響もあったかもしれません。ただ、その後は徐々に調子が上がりました。
9人が個人戦に出場し、金メダルに一番近いと思われていた新井の敗退は予想していなかったのですが、その他の選手はそれぞれに自分の力を出してくれた。昨年の世界選手権は金5個でしたが、紙一重だった。そして今年は、そう簡単には勝てないとは思っていましたが、紙一重でしたので、悲観はしていません。反省するところは反省して、東京五輪で金メダルを獲れるようにしていく。場面によってどの技を掛けるかなど、細かいところも選手たちと話していきますし、状況判断を含めてさらに詰めていきたいと思います。
今回優勝した海外選手は全て来年の優勝候補。それらの選手に勝つためにも、今回の結果は良かったと思う。追う立場の方が大きな舞台で力を出してくれる……そう信じています。
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