世界選手権6日目。男子100kg級のウルフ アロンは2年ぶりの世界一を目指したが、3位に止まり、女子78kg級の濵田尚里は得意の寝技を主武器に堅実に勝ち上がったものの、決勝で無念の一本負けを喫した。東京五輪に向けて、今後の巻き返しを期待したい。
※写真上=普段通りの冷静沈着な表情で畳に向かう濵田尚里。惜しくも2連覇は逃したが、着実な成長の跡を見せた
写真◎近代柔道
今日のウルフ アロンについては、日本開催のプレッシャーがあったでしょうし、コンディショニングで少しうまくいかなかったところもあったと思います。まだ本人と話せていないのでわかりませんが、このあと本人としっかり話して、検証、分析していきたいです。
朝、会ったときに普段より硬くなっているなと見受けられましたので、しっかり身体を動かし、1回戦を考えたうえでのウォーミングアップをしろよと話したんですが、そのあとも身体が動いていなかったというのは、そこに課題があったかと思いますのでこれについてもしっかり検証していきたいと思います。
本来のウルフであれば組み手ひとつにしても、もっと速い展開で、プレッシャーをかけていきながら優勢な状態にできるのに、今日は特に予選ラウンドはどこか淡々とした試合展開しかできていなかったと思います。彼の良さである、厳しい組み手と、相手に圧力をかけ、競れば競るほど自分のペースに持っていける力を出し切れていませんでした。
勝つという思いより、負けられないという思いのほうが先行してしまったようにも見えました。しかしこれは、私が見た感覚でしかないですし、私自身もそういう経験がありました。ただし、そういうときこそ強気で攻めていかなければいけない。こうしたことも、今後に向けて非常に大きな経験値となるのではないかと思いますので、これを生かして努力させていきたいと思います。
3位というのは最低限をクリアできたと思います。強豪がいる階級でもありますので、今のままでは厳しい戦いを強いられるでしょう。されど、強豪と戦っていける力を持っている選手でもあると改めて感じさせられましたので、さらに強化を進めていきたいと思っています。
濵田は決勝までは順調でした。対戦相手に恵まれた部分もありますが、落ち着いて戦って、取りこぼしなく勝ち上がりました。
決勝は、一番警戒していたマロンガ。相手に間合いを詰めさせないことを考えました。左手(引き手)で脇のあたりを持ち、右手を使いながら袖に持ち替えて、マロンガの動きを自由にさせないことをやってきたが、ワンチャンスで技に入られた。最後の大外刈りは、少し強引だったかもしれません。まだ十分に時間はあったのですが、少し気持ちの部分で焦りがあったかと…。
その前に、寝技で決めきれなかったのが敗因と思います。体勢が不十分だったし、手が完全に極まっていなかった。少し動きを入れながら、相手を仰向けにさせるような動きがあれば良かったです。ただ、相手もかなり警戒していますからね。フランス勢は元々、地力はあります。これまでは波があったが、世界選手権に向けてしっかり合わせてきているという印象を持ちました。
濵田は内股を中心に技を磨いてきた。今日の試合でもできていたが、まだまだ発展途上です。もっと精度を上げていくことが必要ですね。
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