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2024-03-27

東京女子3・31両国国技館で渡辺未詩を迎え撃つ王者・山下実優が語った期待と団体愛【週刊プロレス】

山下(左)と未詩

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 今週末の3月31日、東京女子プロレスが2度目の両国国技館大会を開催。今回はそのメインイベントでプリンセス・オブ・プリンセス王座を懸けて渡辺未詩を迎え撃つ王者・山下実優に話を聞いてみた。4度目の同王座戴冠で絶対的エースと呼ばれる彼女が周囲からの期待を受け、満を持して挑戦する未詩に対して果たして何を思っているか。また、今後のビジョンなどにも触れてくれた。

――1・6新宿でのバトルロイヤルを制した未詩選手が挑戦することになりましたが、タイトルマッチ当日まで約3カ月ありました。ここまで準備期間が長いのも珍しい印象です。

山下 それが意外とあるんですよね、ビッグマッチ前だと。私的には色々溜めることができて、より未詩に集中できる環境ではあったし。前哨戦もあるなかで、未詩がどういう姿勢でこのベルトに挑んできているのかなっていうところも感じることができたし。未詩の強さはここ数年で感じてきてるし…実際1回トーナメントで負けているので。あと大事なのは気持ちだと思うので、その部分で気持ちに隙がなくなったなって感じました。今までは見ててまだ気持ち的に弱い部分が見えていたので。なので、そういうところが見えなくなったのは脅威的に感じていますね。ただ、勝つ自信しか私はないですね。負ける気はないです。10年っていう経験で4回このベルトを持っているので、経験があるがゆえ恐れはないかなって。

――ただファン目線だと、おそらく未詩選手に期待が集まっているのかなと。

山下 私もすごい感じますし、今までずっとそうだったので。そんなに今に始まった空気じゃないというか。逆にそういう状況だからこそひっくり返したいなって気持ちになる。いい意味で期待をぶったぎっていきたいなって燃えるタイプなので…まぁそうですよねってかんじです。逆にその空気になってなかった方がちょっと残念というか。期待を受けられる…未詩が勝つんじゃないかって声も聞こえてくるので、そこは未詩自体が作り上げた声かなと。そこであってくれてよかったですね。期待がない状態では両国では闘えないです。普通に考えたら私にとっては不利な空気ですけど、そこは動じないんで。両国までにある空気としては、私としては逆にテンションが上がる空気感ですね。越えがいのない相手とやってもゾクゾクしないし、それで倒しても達成感ないので。そこの色んなハードルがあるから、越えがいも突っ走りがいもあるので。なんか…そっちの方がありがたいですね。

――これまでの東京女子の歴史から見ても、山下選手が負けることで歴史が作られているのかなと。常にトップにいたからこそ「●●が山下に勝った!」の部分がより目立つというか。

山下 そっちの方が目立ちますよね。自分が今まで勝ってきた分、私の勝ち姿を見慣れてきてるから。それでみんなが盛り上がるっていうのは仕方ないし、それはそれでいいのかなって。自負的なことでいうと、山下の強さがあるからそうなるっていうのはあると思うので。そこは逆に自信になります。高い壁になれてるってことだと思うから、より強くなれる理由にもなりますよ。

――そのネガティブな部分を強みに変えられるのですね。思えば山下選手のプリプリ初戴冠は8年前で21歳、いまの未詩選手(24歳)よりも若いです。

山下 ホントだ。やっぱり当時とはだいぶ違いますね。そもそも、ここまで続けてるとも思ってなかったし…。想像以上のプロレス人生になれてるので、その時点でめちゃめちゃ満足してますね。想像してなかったことがいま現実として起きてるから、10年目になりますけど、この先どうなるんだろうっていう好奇心も生まれますし。

――探求は続いていくと。10年目ゆえに目標も当時とはまったく違うものになっていそうです。

山下 違いますね。やっぱり今はベルトをどんどん防衛して、もっと海外に広げていきたいなって思ってます。それは東京女子が海外でもうまくいくって確信があるからこそですね。これに関して自分ができることはそこかなと思うので。広げていくことが今の目標です。

――やはり団体への愛がものすごい大きいですね。

山下 そこはもうずっと変わらず、ですね。割とそこだけでやってきてるところもあるので。

――ちなみに昨年10月に4度目の戴冠を果たし、まだ外国人相手にしか防衛戦はやってないです。

山下 そうなんですよね。個人的には最高の相手と最高の闘いができたかなって思っていて、より自信がつきました。まぁ海外の選手が重なったっていうのも今の山下だからこそできるシチュエーションでもあったのかなとも思うし。東京女子に魅力があるからこそ海外から来てくれたっていうのもあると思うので、そこは今の私らしさが見えてる防衛ロードなのかなって。

――海外から「東京女子に上がりたい、山下と闘いたい」と主張する選手が次々に来ると。

山下 そこは素直に嬉しいなと思います。闘いたいって思ってくれて。

――まるでこっち(プリプリ)がインターナショナルのベルトなのかなって思っちゃいます。

山下 状況だけ見るとそうなると思うんですけど、中を見てみると色が違うようには見せられたかなって思うし。ならではの…(ベルトを)持ってる人によって変わると思うので。そういうところでは差別化はできていたかなっていう風には思います。

――会見でも言っていましたが3・31両国で防衛を果たし、今度は海外での防衛戦も見据えていると。

山下 そうですね。防衛していくっていう計画はしているので。よりグローバル的にも東京女子も広めていって、アメリカでの興行も増やしていきたいですね。

――アメリカの観客のリアクションはいかがですか?

山下 東京女子がアメリカに行くと、以前とは違ってかなり知られているようになった感覚はありますね。アメリカでウケる感覚もあったので、そこを私が引っ張っていこうかなと。そのためにもベルトは必須です。

――そもそもアメリカで東京女子がウケる理由はなんでしょうか。

山下 やっぱりキャラクターが分かりやすいのがいいのかなぁって思うし。Tシャツを着てる人もめちゃ多くて、SNSでも色んなところでGIFになったりするので…あらためて東京女子ってホントに個性が強いなって(笑)。そこが強みになって、海外でもウケてるのかなって思います。

――1人での海外遠征も多いですが、個人としても広く知られているのですか?

山下 割と知っていてくださるなって。そこはなんとなく入場した瞬間とかの反応で分かるので。もちろんまだまだだと思います。全然広げることはできるなって思うんですけど、その一方で着実に、少しずつでも(海外で東京女子を)広められているなっていう実感はあります。

――そういった話を聞いていると、そのうち山下選手が海外の団体に移籍しちゃうのでは?と勘ぐってしまいます。

山下 まぁでも、人生どうなるか分からないですからね。もちろん東京女子に対しての愛は誰にも負けないし、大切にしてる場所ですけど…自分の中では東京女子だけではないので。東京女子しかないから東京女子を愛しているわけじゃなくて、東京女子だから好きっていうだけなので。それが私にとってのすべてではないんですよ。だからこの先どうなるかは分からないです。それくらいがちょうどいいのかなって。先が見えてない方が私としては面白いので。

――ただ現状では自身の海外での活躍を東京女子につなげることが目標だと。これも会見からなのですが、やはりあのベルトには初期メンバーのイメージが強いですよね。

山下 そうなんですよ。そこを変えていくっていうのがめちゃくちゃ難しいと思いますし、私たちが薄れていくこともないと思うので。今こそ、そこにチャンスがあるならガツガツきてほしいし。悔しい気持ちもありますけど、次世代っていわれるのは東京女子の一員としては嬉しいですね。闘ってる私もワクワクするので。それって結局、そう言われ始めてからゾクゾクするので。

――覆すのは難しいと。あと今回の前哨戦ではかなり未詩選手に厳しくいってましたよね?

山下 若干試したっていうのもあります。どこまでくるんだろうってところで。前哨戦全部に関しては自分の予想範囲内だったかなと思います。なので、このままだったら自分が快勝してしまうんじゃないかって思うし。ただ、1回トーナメントで負けた時って見たことない未詩が出てきたので、両国でそこが出てくると分かんないよねって。また私が見たことない未詩の強さが出てくるのかな、出てこないのかなっていうのが楽しみでもありますね。それを感じた時にまた自分でも見たことがないような自分が現れる気がして、そこでもワクワクするんですよ。境地というか、極限まで追い込まれた時に何がどうなるのか。結果が楽しみな試合ではありますね。

――具体的には未詩選手のどの部分に期待、または警戒していますか?

山下 パワーですね。追い込まれた時の追い上げというか…そのあたりが怖いですね。実際にトーナメントでもパワーでもってかれたので、そこに飲み込まれると危ないんじゃないかなと思いますけど。ただ、そこにもっていかなければいいだけなんで。そこに対しての自分のやるべきことっていうのは割と想像ができてますね。

――両国国技館でのビッグマッチですが、かなり試合を冷静に捉えてますね。

山下 これに関してはホントに歴だと思います(笑)。冷静になれるようになりましたね。昔だったら違ったかもしれないですけど。そこは私にあって未詩にはないもの。経験がゆえの冷静に見れるところは。でも試合前は冷静ですけど、試合になると乱される部分はあるので。一方で自分がこういう時になったら冷静じゃいられなくなるっていうのも自分の中では分かるので。それも含めて、勝ちにいくためにすべて動きたいとは思いますね。

――まさに限界を自分で決めるなと。

山下 ですね(笑)。

――では、最後にあらためて両国への思いを。

山下 10年間やってきて、いつかこの時がくるんだろうなって。分かりやすく追われてる立場じゃないですか。壁をおもいっきり壊しに来るこのシチュエーションがきて。そういう時に自分がどれだけ強さを出せるのかなってところが楽しみだし。あらためて山下実優が強いなっていう姿をファンの人には見せたいなという風には思います。そして今度は両国国技館のメインで勝って、あそこでベルトを掲げたいです。

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