男女混合団体のJTO所属ながら、近年は色々な女子プロレス団体に上がることも多い神姫楽ミサ。JTO6・2横浜ではAoiの持つJTOガールズ選手権に挑戦、SEAdLINNNG6・12新宿ではSareeeのBEYOND THE SEA シングル王座に挑む。大舞台が続く神姫楽に現状やこれから、そして地下アイドル時代に同じグループにいた“あの選手”のことについて聞いた。――最近は他団体に上がる機会も増えています。
神姫楽 最近なんかもう試されてる感しかなくて。去年の11月にデビュー3年を迎えて、4年目に入ったんですけど。なんか微妙な時期じゃないですか。若手をちょっと脱却して。(今までは)技術面では劣るけど、がむしゃらさとか気持ちの面を見てよんでくださってた部分が大きかったんですけど。それじゃ通用しなくなってる。その恐怖はあります。
――いろんな相手と対戦していてご自身の成長を感じたりとかはありますか?
神姫楽 デビュー戦がすごいひどかったねってよく言われるんですけど。正直、デビュー戦から自分的には何も変わってないように(感じる)。ベルトとかも取ったりとかしたんですけど、ちょっとピンときてないっていうか、まだ自信がないというか。
――そうなんですね。今までで印象に残った試合はありますか?
神姫楽 たくさんあるんですけど、自分の中で1番 女子プロレスって楽しいって思った試合は、PURE-Jさんでの中森華子さんとのシングルでした。普段の華子さんはほんとにめっちゃ優しくて。けど試合になるとキレた華子さんの試合がすごくて。ザ・女子プロレスみたいな。自分は中島安里紗さんと中森華子さんを見て女子プロレス好きになったんで。1番目標にする2人ですね。
でも一番辛かったのはこの間のSEAdLINNNGで中島さんとSareeeさんとの試合。2人の攻めがすごくて今までの試合で1番辛い時間でした。
――そのSareee選手の持つベルトに6・12新宿で挑戦します
神姫楽 この間の試合はSareeeさんからしたら、自分なんて対戦相手としてはなんてことない一戦だったと思うんです。だから、とにかくこの人をキレさせてもなんでもいいから印象に残んなきゃと思って。張り手というか、もうなんかめちゃくちゃなことやったんですよ。その時にSareeeさんの目がパッと変わって。ヤバいこの人キレたかもみたいな目に一瞬なって。今までリングで見た中で一番すごい目でした。
タイトルマッチではただの後輩との試合みたいな感じで終わらせたくはないので。強気で言うと脅威に感じてほしい気持ちでいるし、 当然負ける気ではないので。
――わかりました。6・1にはアイスリボンで藤本つかさ選手とのシングルがあります。
神姫楽 復帰されてからタッグでは闘ったりして、やっと初シングルなんですけど。(藤本が)復帰して上がった時に、なんか思い出作りっぽい感じのことを言ってたんですよ。その時に自分も言ったんですけど思い出作りには負けたくないというか。やっぱりちょっと昔の藤本つかさよりも丸くなりすぎちゃってるんじゃないかって思ってるので。丸い藤本つかさと闘って勝っても嬉しくないので。全盛期の厳しいつかささんを引き出して、勝ちたいです。
――藤本選手とのシングルの翌日にはホームリングのJTOでAoi選手の持つJTOガールズ選手権に挑戦します。
神姫楽 JTO全体の問題だと思ってるんですけど、ウナギ・サヤカからAoiが取っても全然話題にはなってないじゃないですか。JTOガールズでは誰もウナギ・サヤカの話題性と行動力に勝ててないし。それがJTOガールズ全体の問題というか、課題だと思うんですけど。
――なるほど。チャンピオンのAoi選手についてはどう思われますか?
神姫楽 この間のタイトルマッチでAoiからは何も見えなかったです。自分たちリングに立って何を見せられるかって、何かを見せなきゃ意味ないじゃないですか。Aoiは何かを見せなきゃいけないと思うんですよ、絶対。正解とかはないかもしれないけど、もっと伝えなきゃいけない、 頑張ってることをストレートに伝えなきゃいけないとか、そういうのがあるんじゃないかなって。今度の試合では何かを感じたいです。
――Aoi選手の本当の気持ちを見せてほしいと。
神姫楽 優等生すぎると思うんですよ。たぶん遠慮してるというか。色々考えているんだと思うんですけどそれを言わないから自分には見えてこない。それを出さなくていいと思ってるのかもしれないけど、出さなきゃ意味ないじゃないですか。プロレスラーなら。(週プロの)インタビューでもAoiは『自分はひねくれてる』みたいに言ってますけどひねくれてなんかないですよ。 逆に純粋すぎる。いい子ちゃんすぎると思います。
――リング上でのAoi選手はどうですか?
神姫楽 センスがめっちゃあると思うし。闘う中での見せ方みたいなのがすごい上手いと思うし、入場もめっちゃかっこいいし。だからこそもっと(自分を)出せばいいのにって思いますね。人に対する敬意とかプロレスに対する敬意もあるし。シングルはけっこうやってるんですけど、何回やっても面白い。でも今ベルトを取って乗ってるはずなのに、なんかそんなに楽しそうじゃない!
――おお。踏み込みましたね
神姫楽 ウナギに勝ってベルトも取って。でもなんかいまいち…。何かがネックになってると思います。もしかしたら自分では気づいてるかもしれないし。
――わかりました。神姫楽選手はデビューから約3年半が経ちました。振り返っていかがでしょうか?
神姫楽 まず3年間よくやったなって。よくやったっていうか絶対すぐ辞めると思ってたので(笑)。2年前に初めてアイスリボンさんに定期参戦させてもらって。外の世界を知ったり、女子プロレスの世界を知ったからこそプロレスというものがすごく楽しく感じられました。外の世界を知ったからJTOの闘い方も面白いと思えたし。
あとは考えてみると石川奈青はほんとに自分にとって大きな存在だと思いました。
――今、話題のマリーゴールドの“期待されてない女”ですね。網倉里奈選手と3人でKISSmeT PRINCESSを結成されていました
神姫楽 プライベートでも仲が良くて。旗揚げ戦前にもいろんな話を聞いていて、石川の思いは知っていたので。あーみん(網倉)と2人でマリーゴールドの旗揚げ戦も見に行って、泣きました。ほんとに。またリングでも会いたいし、タッグを組みたいですね。マリーゴールドは鎖国みたいな感じだと思うんですけどプリンセスには関係ないので(笑)。
――神姫楽選手の経歴を振り返るうえで、プロレスラーになる前の地下アイドル時代に同じグループにいた中野たむ選手の存在は欠かせません。
神姫楽 私はあの頃のたむしか知らないので。すごい肉体改造もしたし。(アイドル時代は)プロレスとは真逆のところにいたと思うんです。それが今はほんとにすごくなってるから。人として興味があります。
――アイドル時代のたむ選手とはどんな関係だったんですか?
神姫楽 元々、ダンスの先生として入ってきて。それからメンバーになって。仲良かったと自分では思ってるんですけど。一緒に遊びに行ったり、家にも行ったりしたこともありましたし。でも振り返ってみたらなんか(たむのことを)知らなかった。隠してるとかではなく、いろんなことを知らなかった。私よくない辞め方をしてるんですよね。
――そうなんですね。
神姫楽 所属していたアイドルグループは色んな事務所の子たちが集まっていて。私とたむは違う事務所だったんです。それでワンマンライブ前に上同士が揉めて大量離脱があって。私は辞めた側だったんです。
――そういう過去があったんですね
神姫楽 私は大学生で、たむはアイドル一本だったので。もしかしたら懸ける思いがそもそも違ったのかもしれない。自分は言ってしまえば片手間にやってたっていた意識だったのかなって、今思うと。もしあの時アイドル一本の方だったら、自分もなんかもっとちゃんとしてよって思ったりとかしてたんだろうなっていう。 なんかそっち側の子のこととかを考えられてなかったな、色々。
一緒にいた時は遊んだし、プリクラとかいっぱい撮って。今もフォルダに入ってますし。今は会えていないのでファンの方と同じ目線のたむしか知らないんですけど。今は(カワイイポーズをして)こんなんじゃないですか。でもあの頃は裏で一緒に変顔したりしてて(笑)。なんかちょっと違う人を見てるような感じです。今のたむを見て懐かしい気持ちにはならないです。
――もし今のたむ選手とプロレスラーとして再会するとしたらどういう気持ちですか?
神姫楽 会いたいし、プロレスしたいです。1番の理想は試合して、その後にあの時のこととかも話したいし、今の現状もお話ししたい。試合した後に色々話したい。でも絶対泣くと思います。でも、たむにとって自分がそのくらいの感情を出せるほどの存在なのかというと…。色んな経験をして色んな景色も見ていると思うので。
――ある意味、これから神姫楽選手もそれぐらいの存在になりたいと。
神姫楽 自分が今、伊藤道場に行っている理由も、なんかファンの人から聞いた話なんですけど、たむが今まで練習した中で一番Sareeeさんの練習がきつかったって言ってたらしくて。それもあって伊藤道場に行ってるところもあって。たむがきつかった練習ってどんなのだろうとか。やっぱりどこかでたむを追いかけてるのはあるなって思います。