close

2023-05-24

ジュリア「お騒がせ症候群」出張版vol4~前代未聞の問題作!?中野たむ対決がかみ合わなかった理由と沈黙のニセたむへ「石川、お前の本気はそんなモンなの?」【週刊プロレス】

話題の問題作“中野たむ対決”を斬ったジュリア

全ての画像を見る
週刊プロレスで好評連載中のジュリア「お騒がせ症候群」。出張版第4回は、スターダム5・12「NEW BLOOD」でおこなわれた前代未聞の“中野たむ対決”について。

宇宙一カワイイアイドルレスラーでワールド・オブ・スターダム王者の中野たむと、3月でアイスリボンを退団した石川奈青によく似た“ニセたむ”中野たむによる中野たむ対決。当初はネタ試合かと思われたが、ニセたむの絶妙なソックリ具合と連日連夜おこなわれたSNSでのアオリ、ブシロード本社に潜入して決行されたコスチュームゲット大作戦にお手製の赤いベルトなど戦前から大きな話題に。結果、気づけば大会のメインイベントでたむ対決は実現した。

だが、結果はたむの完勝。たむムーブを見せつけ、なんとか意地を見せようとしたニセたむだったが、思うようなファイトを見せられず。たむの強烈な打撃を食らい、口から血がにじむなど圧倒されて敗戦。悔しさに打ちひしがれたニセたむは試合後、号泣した。良くも悪くも突っ込みどころ満載でいろいろ語れる“問題作”となったたむ対決をジュリアはどう見たのか。
左が中野たむ、右が“ニセたむ”中野たむ
ジュリア番「前代未聞の“中野たむ対決”、ジュリア黒幕説もありましたけど?」

ジュリア「(無視して)当日は会場に行けなかったから、配信で見ましたよ。あの日ってNBタッグにフューチャーという2つのタイトル戦に加えて、パッション注入マッチとか注目の試合がいろいろあったなか、中野たむ対決がメインイベントに抜擢された」

ジュリア番「タイトル戦がセミ&メインで、たむ対決はセミ前あたりかなと予想してましたが…!」

ジュリア「私もそう思ってた。でも、NEW BLOODに至る盛り上がりという意味ではたむ対決が断然盛り上がってたからね。その意味じゃメインもアリなのかと思ったし、同時にすごいハードルが上がっちゃったなとも思った、良くも悪くも」

ジュリア番「まさに良くも悪くもでしたね」

ジュリア「ニセたむ…というか、石川奈青はきっとプレッシャーがすごかったと思うよ」

ジュリア番「ニセたむが石川奈青さんかどうかわかりませんよ。先日、石川さんに会いましたけど、『たむ? 夢でも見てたんじゃないですか?』ととぼけてましたし」

ジュリア「(無視して)中野たむ対決って、ちょっとネタっぽい響きがあるカードだったと思うんだ。でも、こういうのをメインにブチ込んでくるのがスターダムだなと私は思った。私もスターダムに来たばかりの頃、何度かマジかよ…という目にあってきたから。石川はいきなりスターダムの洗礼を浴びたね」

ジュリア番「ニセたむさんにとっては初のスターダム、もっと言えば生き残りをかけた勝負の一番でした。それがいきなりメインになって、だいぶプレッシャーだったと思います」

ジュリア「セミ前とかだったら気持ち的にはだいぶ楽だと思う。だけど、いきなりメインに抜擢されても、その期待に応えるのがプロレスラーだから」本家たむをほうふつとさせるカカト落としを決めたニセたむ
ジュリア番「確かに。そんなたむ対決、ジュリアさんはどう見ましたか?」

ジュリア「いくつか感じたことはあったよ。まず思ったのは2人とも少し背伸びしてたかなってこと」

ジュリア番「背伸び?」

ジュリア「まず中野たむ。5・27大田区でも赤&白二冠戦(vs白川未奈)が決まったけど、それが賛否両論を呼んだ。赤を取ったばかりということもあってかなり気負ってると思うんだけど、ハッキリ言って赤&白二冠戦の機運が高まることもなく、いきなり決まってお客さんは戸惑ったんじゃないかな。でも、中野たむは赤の王者である以上、どんな挑戦でも受けて立たなきゃいけないって、ある意味背伸びして受諾してしまった。赤の王者らしく振る舞う責任感みたいな。そんな背伸びした状態の中野たむがNEW BLOODで出てたかな?と私は思った」

ジュリア番「気負いが中野たむ対決でも…?」

ジュリア「キャリア、実績、スターダムでの立ち位置、あらゆる部分において、中野たむにとってニセたむは赤ちゃんみたいなモンだったと思うんだ。それを考えると、もっと余裕カマしてよかったんじゃないのって思った。石川ってキャリアは…」

ジュリア番「ニセたむが石川さんだとしたら5月で4年目に突入。しかも欠場期間がけっこうあったので、実質2年ちょっとかもしれません」

ジュリア「そう考えたら、大人と子供みたいなモンだよ。でも、あの日の中野たむにはそういう余裕が見えなかった。その差を見せつけなきゃ、て気持ちが先行しちゃってたかな」

ジュリア番「チャンピオンだからと言って上から目線になることなく、ニセたむさんと同じ目線で闘ったとは言えませんか?」

ジュリア「同じ目線で闘うのと、圧倒的な差を見せるのは別モンだと思う。チャンピオンだったらなおさら。キャリア不足の相手であろうと、おいしく料理して、試合を盛り上げて、興行を満足いくものにまとめるのはメインイベンターの務め。違う?」

ジュリア番「確かに…」

ジュリア「あの日の中野たむはそこよりも、批判されがちな赤白戦を何とかしなきゃって気負いの方が強く出てたんじゃないかな?少なくとも私にはそう見えた」
たむは「石川!」と叫んでバイオレットシューティングを決めた
ジュリア番「石か…ニセたむさんのことはどう見ました?」

ジュリア「ひと言で言えばいっぱいいっぱい。たむの技を真似しようとして、本物に近づこうとしてたけど、たむの強烈な打撃喰らって、途中で心が折れちゃった。お互い、本来の自分と違うアプローチをしなきゃ、と背伸びして気負いが生じた。結果、少し噛み合わないメインイベントになったかなと」

ジュリア番「もし2人が背伸びしたが故にかみ合わない試合になってしまったのだとしても、僕はめちゃくちゃ印象に残りましたよ。語れる試合だとも思いました。ある意味スターダム史に残る問題作だったのかなと」

ジュリア「確かにそれは言えるかもね。誤解を恐れずに言うなら、噛み合わない試合にこそ、お客さんが語るスペースがあるのかもしれない。SNSを見ても、いろんな意見が飛び交ってたもんね。それ自体は全然悪い事じゃない」

ジュリア番「大会翌日には記憶から消えてる普通のいい試合ではなく、何日経っても語りたくなる問題作なんてやろうと思ってもできるモンじゃないと思います」
ニセたむが作ったお手製の赤いベルトに怒り心頭だったたむ
ジュリア「お客さんが何日でも語れる程いい試合をやるのが理想なんだけどな(笑)。あと、見ていて思ったのは、中野たむが偽物が作ってきたお手製の赤いベルトを破り捨てて、『赤いベルト、ナメんじゃねぇ!』って怒ってたじゃない。私はあれがちょっと切なかった」

ジュリア番「切なかった?」

ジュリア「あの段ボールベルトにこそ、ニセモノのこの試合に懸ける本気が詰まってたと思うんだ。まぁ、私もちょっとだけ石川のことを知ってるからこそ言わせてもらうと、アイツはアイツで過去にいろいろあって、前の団体を辞めた。その時「もし引退する時がきたら、プロレスやり切ったなと思って辞めたいんです。でも、まだやり切ってないから。(今後もプロレスを続けられる)チャンスがあるなら本気でやりたいんです、やり切ったって思えるように」って言ってた。中野たむ対決が発表されてから、記者会見に始まって、毎日のように更新されたSNS、週プロを呼び出してまで記事にしてもらって、段ボールで赤いベルト必死こいて作ってさ。あれを作ってる姿、目つぶって想像してみ?普通、あんなめんどくせえことしないって。私の中では徹夜で作ったことになってるから。(笑)今回のNEW BLOODに出場した選手のなかで、アイツぐらい一つの試合に本気で向き合ったヤツいた?って聞きたいよ。まぁ、本気で向き合ってハードル上げまくった結果、自爆したようにも見えたけど」

ジュリア番「石川…じゃなくて、ニセたむさんの本気が伝わったからスターダムのファンも彼女を受け入れてくれたのかもしれません」たむ対決を終えたニセたむはバックステージで号泣

ジュリア「そうだね。いろいろ言ってきたけどさ、中野たむ対決の一連の流れを見て来て私が思ったのは、もう一度、今度は石川奈青として試合させてやりたいなって」

ジュリア番「石川奈青として」

ジュリア「中野たむになり切るというのは、彼女がプロレスラーとして再スタートするために選んだ手段なんだと思う。これをやらなかったらスターダムには出れなかったかもしれないって意味で。ただ、その代償として中野たむという存在に縛られてた。中野たむの技や動きをやる事に全ての気を取られて、当たり前だけど石川奈青ってレスラーはまったく見えなかった。バックステージでめちゃくちゃ泣いてたって聞いたけど?」

ジュリア番「泣いてましたねぇ。コメント中も涙がこらえきれませんでしたが、コメントを出し終わった後も20分近くイスに座って、ずっと涙を流していました」

ジュリア「それだけ本気だったってことでしょ。ちょっと前に週プロのTwitterで久しぶりに顔を見たけど、それっきりでしょ? 元気かーってメールしても何の返事もない。(笑)…石川、お前、このまま終わっていいのかよ。せっかくあそこまで盛り上げて、試合はダメだったかもしれないけど話題にもなったのにSNSもピタッと更新が止まっちゃって。おまえの本気はそんなもんなの?」

ジュリア番「本気を貫けと?」

ジュリア「これで終わっていいのかよ?って石川には言いたい。ちょっと前の『お騒がせ症候群』でジュリ番に連れられて、石川がゲストで出た時があったじゃない」

ジュリア番「週プロ2241号ですね!」

ジュリア「あの時、これからのことをいろいろしゃべってた時、アイツすごい輝いてた。そういう石川を見て、報われてほしいなって本当思ったから」

ジュリア番「立ち上がれと?」

ジュリア「立ち上がってくれると私は信じてるよ。笑われてもいい、けなされてもいいじゃん。信念があるなら貫けって。SNSを発信するでもなんでもいいから動き出せと私は言いたいね。ジュリ番もアイツのケツ叩いて、さっさと動き出せと伝えておいてよ」

ジュリア番「了解しました!」

ジュリア「ということで、今回の出張版はここまで。諸君、次回をお楽しみに! アリベデルチまたな!」

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事