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2019-03-29

ONE Championship日本代表取締役社長秦 アンディ英之インタビュー ONEには日本のスポーツを変える力がある

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私はチャトリに時代を変えるトップの人を重ねています。 いい点をつなげて、線にして、面にしていくという広がりをつくっていきたい。

――もっと苦労話を聞けると思いました。もちろん、苦労もされているのでしょうが。それよりも喜びのほうが大きいようですね。

 人によっては苦労かもしれませんが、私としては苦労というより使命です。CEOのチャトリも同じ考えですが、格闘技産業が衰退した、暗い歴史もあるなかで、それをピンチだと思うか、チャンスだと思うか。落ちたからこそ、チャンスなのではないかと思っています。そういう実態があるからこそ、理解しなければいけないのは、需要は確実にある。魂があちこちに落ちている。それを体感できたら、「これは、やるしかないな」と、使命感に変わりました。

 苦労といえば、大きなカバンをもって、あちこち回って、説明していく必要がありました。なぜなら格闘技に対する先入観がありますから。先入観に関しては、自分にもありました。そこを覆すには近道はないと思います。1つ1つちゃんとロジカルに説明していく。先日も山口県の修斗のアマの大会に行って来ました。会場にいる方々や運営するスタッフに、1つ1つ丁寧に話すと、「そういうことだったのですね」と理解してもらえました。

 上方からチャンスを広げるという仕組みの構築と、地道な説明の両方をやっていかないといけない。

 山口の会場にONEの東京大会のポスターが貼ってありました。これを見てみんながワクワクしている。私はそこにいる人たちに問いました。これはどういった意味かわかりますか。例えば、修斗とONEのロゴが並列になっている。上とか下ではないのです。みんなが同じように一緒になってよくしていくという思いがないと成功しないのです。時間はかかると思うのですが、1つ1つ説明して、パーツを組み上げていく作業が必要です。

 面白いことに、6年間ニールセンスポーツでやっていたことが、実はまったく同じでした。前職ではスポーツスポンサーシップの効果測定の文化を日本のなかで普及させることに取り組んでいたのですが、6年前は否定されていました。そんなことは必要ないと言われ、門前払いを毎日くらっていました。

――スポンサーシップの効果を測ることはできるわけがないという感じでしょうね。

 そうですね。それが、今、6年後には助けてほしい。数字ありきだと変わって来ました。その過程を踏ませていただいたことによって、1つ1つの地道なプロセスや活動がどれだけ大切かということがわかりました。あと、見失ってはいけないのは本当のニーズです。困っている人たちのニーズをとらえながら軌道修正をする。かたちを作っていくというのを忘れてはいけない。需要がなければ、ただのエゴの話で、絶対に成功しません。

 エコシステムの前提として重要なのは、母体となる団体がしっかりとした成功する要素をもっているかというのが1つ。2つめは、地域に落とし込んだ時に、今回の場合は日本ですが、そこで成功するパートナーシップを組めるかです。これはいくつか要素があります。1つは、パートナーとして日本の市場をわかっている電通と組めたというのが1つ。2つめは、発信できるメディア団体と組めたこと。例えばアメバTVとテレビ東京と組めました。

 もう1つは供給体制です。地場のパートナーシップとして、修斗、パンクラス、新空手と提携しました。これもどんどん増えていっていいと思いますが、こういった地場の提携を広げていくのがもう1つです。

 もう1つは教育機関。国立鹿屋体育大学と脳波の研究をやっていくことになりました。今後、教育機関とのパートナーシップもっと広げていきたいと考えています。

 最終的に差別化につながる大きな要素としては、ビジネスの成功の大動脈となる企業とのパートナーシップです。これは焦らずじっくりやっていきたいと思っています。

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