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2024-08-13

【陸上】インターハイ男子走高跳で福岡一高の中谷魁聖が37年ぶりの大会新&高校新

中谷は2m24を2回目にクリアすると、腕を突き上げて喜びを表現した(写真/中野英聡)

7月28日(日)から5日間の日程で福岡・博多の森陸上競技場で行われた陸上競技のインターハイ。最終日、最後の決勝となった男子走高跳で中谷魁聖(福岡一高3年・福岡)が地元の声援を受け、37年ぶりの大会新記録&高校記録を樹立した。

地元・福岡で高校記録を更新

インターハイ最古の大会記録が、男子走高跳の2m20だった。
「地元インターハイで大会記録を更新したい」
2m21にバーを上げた中谷が、大声援を後押しに“軽々と”その高さをクリアした。

「ここまできたら、いくしかない」
炎天下の午前10時から予選を行い、すでに時刻は17時を回っていた。
「体力もギリギリだった」
1本の跳躍に全神経を集中させる。マイルリレーも終了し、競技場にいる全員の視線が、中谷に集まった。
「跳躍に入ったら、周りの音は何も聞こえなかった」
2m24、2回目の試技。深い内傾から、持ち味の強い踏切へとスムーズに入った。地面の反力をもらって浮き上がった身体が、高校生未踏の高さを美しく跳び越えた。

プロローグは4月にドバイ(UAE)で行われたU20アジア選手権からあった。現地に入ってから助走路が短いことを知り、急遽、短い助走に変更してスピードを出した。
「それまでバウンディングを入れていたのですが、調子によってストライドが変わってしまうことがありました。短い助走に変更したら、安定してスピードを出して、持ち味の踏切に持っていけるようになりました」

 そこからは『2m20』を超えるべく、動きの再現性を高めた。インターハイ路線の福岡県大会、北九州大会とも2m10で試技を終えてしまったが、それも「インターハイで大会記録を更新するためのトライ」をした結果のエラーだった。

今大会も2m06と2m09を1回ずつ失敗しているが「高さを超えるだけなら超えられるけど、自分のしたい動きの修正をしていた」と、見据えていたのは『2m20』の先だった。

 3年間の目標だったという高校記録をも更新した中谷だが、「高校記録じゃ、まだまだ足りない」と言う。
前日の男子800mでは、落合晃(滋賀学園高3年・滋賀)が日本記録でインターハイ連覇を達成した。
「種目は違うけど、刺激になりました。U20アジア選手権で一緒に戦った仲間ですし、『落合に負けるな』と自分に言い聞かせていました」

身長は180cmと、走高跳の選手としては決して高くない。しかし中谷は「身長は負ける理由にならない」と言う。
「自分と同じくらいの身長の真野(友博、九電工)さんも世界で戦っている。身長が低いからこそ、内傾をもっと低く、速くすることもできる」

 その真野も出場するパリ五輪が開幕し、陸上競技もいよいよ始まった8月1日。
ここ福岡で戦った高校生たちは、熱くそして冷静に、パリの先を見据えている。

文/新甫條利子 写真/中野英聡

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