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2024-08-23

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第21回「対決」その3

平成29年名古屋場所2日目、金色廻し同士の対戦が組まれ、遠藤が輝を寄り切る

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令和2年当時、白鵬も、鶴竜も青息吐息の状態で、とても両者相譲らず、がっぷり四つの状態とはいえませんが、大相撲の歴史を紐解けば、ライバル同士が激しく歯を剥きあう、対決の歴史でもありました。
戦後も、栃若に始まって、柏鵬、北玉。
最近も、貴乃花、曙の貴曙、白鵬、朝青龍の青白など、なつかしく思い出されるファンも多いんじゃないでしょうか。
でも、そんな大相撲史に名前が残るような名力士、大力士だけでなく、多くの力士たちがさまざまなかたちで対決を繰り広げています。
そんな土俵の片隅で火花を散らしあった珍対決集です。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

金色廻し対戦

最近、力士たちの廻しも赤、青、銀色、ピンクとずいぶんカラフルになった。でも、金色に勝る派手な色はないだろう。それだけに、力士たちも金色の廻しを締めるときはそれなりの勇気を要するようだ。だって、少々の活躍では色負けしてしまうから。

平成29(2017)年名古屋場所2日目、どちらも石川県出身の遠藤と輝の2人が登場すると、いつも以上に土俵は輝いて見えた。輝は、十両に昇進した平成26年九州場所からずっと金色の廻しを締めている。かつて黄金色の廻しと言えば、学生相撲出身唯一の横綱、輪島の代名詞だった。その輪島と遠縁にあたることから、この色を自分の色と定めているのだ。
 
遠藤も、この場所から、後援者から贈られた、という以外に詳しいいきさつはつまびらかにしていないが、同じようなピカピカの金色廻しを着用し始めた。同じ石川県出身で、日大の先輩後輩の間柄、ということから、やはり輪島にあやかったに違いない。
 
おそらくこの日は史上初の金ピカの同郷、さらに言えば同じ中学の先輩後輩対決だった。この腰のあたりがなんとなくまばゆい対決の結果は、うまさでは一枚上の遠藤が突き起こして右を差し、何とか回り込んで反撃しようとする輝を寄り切って勝ったが、前日、この場所、上位に躍進し、注目を集めている宇良に敗れているだけに、ホッとした表情を見せながらも無言。負けた輝も、

「(同じ金色廻し同士の対決という)そんなところへの意識はない」
 
と憮然としていた。
 
力士は、やっぱり金色よりも白なのだろう。そう言えば、勝った遠藤は、左足関節の軟骨が悪化して5日目から休場に追い込まれたのに気を悪くしたのか、金ピカ廻しの使用期間はそう長くなかった。

月刊『相撲』令和2年12月号掲載

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